バセドウ病【甲状腺機能亢進症】の食事制限や量およびレシピ
バセドウ病における食事内容や献立につて
バセドウ病は甲状腺ホルモンの過剰分泌により、脈が速くなったり、汗をたくさんかいたりと、常に運動をしているような状態になり本当にしんどいと思います。
改善を図る上で、食事面において気を付ける点はあるのでしょうか?
本記事では治療を進めていく中で、ヨードの摂取量を始めとした食事制限をした方が良いのかや食事の量、およびレシピなどについて触れたいと思います。
バセドウ病の食事制限について
バセドウ病の方の食事の基本的な考え方は、普通の人と同じく栄養バランス良く食べていれば大丈夫で、それほど制限しなければならない食べ物はありません。
ただアルコールやとうがらしなどの刺激物を摂りすぎると動悸が激しくなったりする場合があるのと、脂肪の摂り過ぎは免疫力の低下につながり、甲状腺を含むいくつかの臓器に対する自己免疫攻撃を引き起こしやすくする可能性があるので注意が必要です。
その他、放射線ヨウ素検査を行うような特別な場合はヨード(よう素)を制限する必要があります。
バセドウ病になると甲状腺ホルモンの主原料であるヨードを制限しなければならないという話も耳にしますが、適量を摂取していれば大丈夫です。
もちろん、過剰摂取は避けねばなりません。
これはバセドウ病患者さんに限ったことではなく、普通の人も過剰摂取は避けた方が良いとされています(ヨードに限らず様々な栄養素にしても基本的に同じですが)。
あまりにも多くのヨードを摂取すると、甲状腺ホルモンの分泌を低下させ甲状腺機能低下症などの病気を引き起こす可能性があると言われています。
バセドウ病の症状や治療法などについては次のページをご参照下さい。
バセドウ病における妊娠や授乳などに関することは次のページをご参照下さい。
ヨード(ヨウ素)の適量について
ちなみに人間の体が必要とするヨードの量は、通常1日当たり0.1~0.15mg(上限は3mg)とごく微量です。
バセドウ病でもヨードは1日0.2~1.5mgの摂取なら問題ないと考えられています。
ヨードの含まれる食べ物には昆布、ワカメ、海苔、ひじき、もずくなどがありますが、おつまみや佃煮、漬物などに昆布が入っていたり、醤油や味噌、酢、だしの素といった調味料に昆布だしが使われていたりして、ヨードが含まれていたりします。
またこれはバセドウ病の方に限ったことではないですが、ケーキやお菓子など白砂糖の多く含まれた食品は控えた方が良いです。
ヨウ素の多い食品につきましては、次のサイトも参考にしてみて下さい。
伊藤病院 ヨウ素を含む食品
バセドウ病の方で不整脈を起こす方もいらっしゃっています。
不正脈に関する内容につきましては次のページをご参照下さい。
食事の考え方について
バセドウ病になると代謝が異常に高まるので、体内のエネルギーがどんどん消耗されます。
ですので、食欲も沸きたくさん食べられるようになります。
1日3食しっかり食べるといいでしょう。
ただやはり基本は普通の人と同じで、バランス良く摂取することが大切です。
バランス良く摂取することにつきましては次の項で触れたいと思います。
バセドウ病で夜の眠りが悪くなる場合もあります。
不眠に関する内容につきましては次のページをご参考にしてみて下さい。
食事量と栄養バランス
では適切な食事量とバランスの良い食事というのはどのような食事を言うのか?ということですが、厚生労働省から出されている「食事バランスガイド」が1つの目安となります。
食品の分類には主食、副菜、主菜、乳製品、果物の5つがあります。
詳細を以下に記載します。
①主食
ごはん、パン、麺類などの炭水化物です。
一般的な人の食べる適量ですが、炭水化物の量約40g=1単位とした時に1日に5~7単位摂るのが目安です。
1単位の具体的な食べ物は小ごはん1杯=おにぎり1個=パン1枚=ロールパン2個です。
②副菜
野菜、いも類、豆類(大豆を除く)、きのこ、海藻などの各種ビタミン、ミネラル、食物繊維が含まれた食べ物です。
一般的な人の食べる適量ですが、主材料の重量約70g=1単位とした時の1日に摂る目安は5~6単位です。
1単位の具体的な食べ物としてはきゅうりとワカメの酢の物=ほうれん草のお浸し=ひじきの煮物=煮豆=きのこソテーなどがあります。
③主菜
肉、魚、卵、大豆、などを主な材料とし、たんぱく質の供給源となる食べ物です。
一般的な人の食べる適量ですが、たんぱく質の量約40g=1単位とした時の1日に摂る目安は3~5単位です。
具体的な食べ物の目安は1単位=冷奴=納豆=目玉焼き、2単位=焼き魚=魚の天ぷら=まぐろとイカの刺身、3単位=ハンバーグステーキ=豚のしょうが焼き=鶏肉のから揚げです。
※補足ですが、バランス良くを心がけていれば問題ないことですが、大豆の摂り過ぎは甲状腺にダメージを与えると言われていますので、注意が必要です。
④乳製品
牛乳、ヨーグルト、チーズなどカルシウムが含まれた食品です。
一般的な人の食べる適量ですが、カルシウム約100g=1単位とした時の1日に摂る目安は2単位です。
具体的な食べ物としては1単位=牛乳コップ半分=スライスチーズ1枚=ヨーグルト1パックです。
⑤果物
ビタミンC、カリウムが含まれた食品で果物の他、果実的野菜などです。
一般的な人の食べる適量ですが主材料の重量を約100g=1単位とした時の1日に摂る目安は2単位です。
具体的な食べ物としては1単位=みかん1個=リンゴ半分=かき1個=なし半分=ぶどう半分=もも1個です。
以上ですが、これら5つの食品の摂取する割合を念頭に置き、バセドウ病の方は個々人の代謝量に合わせて食べる量をコントロールするのが良いかと思います。
食事バランスガイドのより詳細な内容は次のサイトをご参照下さい。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou-syokuji.html
バセドウ病で血圧が高くなる場合もあります。血圧に関する内容につきましては次のページをご参考にしてみて下さい。
主治医が見つかる診療所 高血圧の原因は?食事での対策は?
高血圧の症状【めまい・頭痛・吐き気】は危険!原因と治療法
バセドウ病において推奨される食べ物
バセドウ病における食事の基本は先に述べさせて頂いた栄養バランス良くということですが、バランスを基本におきつつ少し意識して食べると良い栄養素があります。
それは亜鉛です。
亜鉛は「正常な甲状腺ホルモンの産生に欠かせないもの」とされています。
亜鉛の推奨量は成人男性で12mg/日、成人女性では9mg/日とされています。
亜鉛の含有量が多いとされる牡蠣1個の目安は6mgです。
豚レバー100gも6mgくらいです。
ちなみに亜鉛の上限量は成人男性で40~45mg/日、女性で30~35mg/日となっています。
また高たんぱく低脂肪の食品もおすすめです。
高タンパク低脂肪食が自己免疫疾患の発病を予防するという研究結果があります。
高たんぱく低脂肪の食品としてはささみ、鳥の胸肉、豚ヒレ肉、豆腐、納豆、先に挙げた牡蠣などがあります。
バセドウ病の完治に関することにつきましては次のページをご参照下さい。
食事レシピ3選
バセドウ病の食事につきましてはバランス良く食べれば良いですが、ご参考までに推奨される食べ物を使った食事レシピを3つ紹介したいと思います。
ささみの簡単ヘルシー中華サラダ
高たんぱく低脂肪の代表的な食材であるササミを使った名前の通りヘルシーなサラダです。
【材料】2人前
鶏ささみ1本、、きゅうり1本、ミニトマト5個、酒 大さじ1、各調味料(ポン酢大さじ1、めんつゆ 大さじ1、豆板醤 小さじ1)
【作り方の概要】
①きゅうりを千切りにして塩少々をふりかけて5分程度置いておく、ミニトマトは食べやすい大きさにカットする
②ささみに酒大さじ1をふりかけてラップをかけレンジ(600w)で 約2分蒸す
③ささみを食べやすい大きさに裂く、蒸した後の蒸し汁は捨てずにとっておく
④各調味料と③の蒸し汁大さじ1を合わせて溶いておく
⑤①のきゅうりをさっと水洗いし絞って水気を切る
⑥ささみ、きゅうり、ミニトマトを④のドレッシングで和え、ごまをふりかけて出来上がり
詳細は次のサイトをご参照下さい。
出典:cookpad http://cookpad.com/recipe/3725717
たらと豆腐のキムチ炒め
たらも高たんぱく低脂肪の食材です。
豆腐も加えてこれもヘルシーな1品です。
【材料】2人分
生のたら2切れ、木綿豆腐1/2丁、キムチ50g、胡麻油 大さじ1、醤油小さじ1、酒 大さじ1
【作り方の概要】
①生のたら2切れに小さじ1/2強の塩を両面に振り、10分置く。流水で軽く流し、水気をよく拭く。3等分くらいにカットする。
②豆腐は厚手のキッチンペーパーにくるみ、600wで1分30秒レンジ。熱がさめるまでザルに上げておく。
③青ネギは斜め薄切りに。キムチは軽く汁をしぼってお好みの大きさに切っておく。
④フライパンに胡麻油をひき、タラを入れ、木綿豆腐を崩し入れ、中火でタラの両面に焼き色がつくよう炒めて出来上がり。
詳細は次のサイトをご参照下さい。
出典:cookpad http://cookpad.com/recipe/3596224
鰆と牡蠣のムニエル
亜鉛が豊富な牡蠣と高たんぱく低脂肪の鰆(サワラ)の組み合わせです。
【材料】.
鰆2切れ、牡蠣4個、オリーブオイル 大さじ1、塩コショウ適量、小麦粉適量、ほうれん草ソース
【作り方の概要】
①牡蠣は塩水で洗い汚れを落とす。水気を切り、鰆と牡蠣には塩コショウして小麦粉をまぶす
②フライパンを熱しオリーブオイルを入れ、表を焼いて裏返して弱火で火を通す
③ミニトマトを盛り付けておいて、火が通ったら盛り付け、ソースをかけて出来上がり
詳細は次のサイトをご参照下さい。
出典:cookpad http://cookpad.com/recipe/3712669
体の問題には自律神経が大きく関わっているとされています。
つまり自律神経の働きをより整えることで、体の不調を改善に向かわせることが期待できます。
自律神経に関しましては次のページをご参照ください。
自律神経を整える方法 ツボ・アロマ・運動・食事・呼吸法
自律神経失調症の症状と原因と改善方法【治し方】
自律神経失調症を改善する食事は?
自律神経失調症とは?症状は?痛みや吐き気・ほてりなど
バセドウ病で太る場合の原因は?
基本的にバセドウ病になると急激に痩せると言われております。
その理由はバセドウ病になると甲状腺ホルモンが大量に分泌されるようになるので、基礎代謝が必要以上に向上してしまい、常に多くのエネルギー消費がされる状態になってしまうからです。
そのため、バセドウ病になると急激に体重が落ちる人がいると言われております。
しかし、バセドウ病になると急激に太ってしまう人もいるのです。
というのも、バセドウ病はエネルギー消費量が増えるので食欲がかなり増えます。
そこで治療を開始すると甲状腺ホルモンの分泌量を制御できるようになるので異常代謝が収まります。
要するに治療を開始すると消費エネルギーが減るのです。
それでも、食欲が収まらないことが多いので消費カロリーが減っているのに摂取カロリーだけは減らないという状態になってしまい、体重増加に繋がってしまいます。
これを回避したいという場合は治療の開始と一緒に食事の量のコントロールも意識する必要があります。
この部分を意識しないと急激に太ってしまうのです。
最後に
バセドウ病の方における食事については基本的には普通の人と同じで栄養バランス良く食べれば大丈夫です。
少し気をつける点としてはアルコールやとうがらしなどの刺激物を摂りすぎない、脂肪を摂り過ぎないといった点です。
もちろん普通の人でもヨードや白砂糖の過剰摂取は良くないように、健康な方でも良くないと言われていることは避けましょう。
それから、放射線ヨウ素検査を行うような特別な場合はヨードを制限する必要があります。
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