バセドウ病で妊娠すると奇形児の心配は?薬やリスクは?
バセドウ病での妊娠時の奇形および薬などのリスクについて
バセドウ病の方においては妊娠した場合に奇形児の問題など不安もあるかと思います。
また妊娠中に薬の服用を行った場合のリスクも気になるかと思います。
本記事ではバセドウ病の方の妊娠において気になると思われる点を中心に記載したいと思います。
バセドウ病での妊娠におけるリスクは?
甲状腺ホルモン過剰の状態で妊娠すると、流産や早産、妊娠中毒症の危険が高くなると言われています。
ですので、基本的には甲状腺ホルモンの濃度を正常にした上で、妊娠するのが良いでしょう。
安全な出産をする上で妊娠中に薬を調整して、甲状腺ホルモンの分泌量を正常に保つことが最も大切とされています。
あと妊娠から出産に近づくにつれ、バセドウは自然に良くなる(母体と遺伝子の違う赤ちゃんを攻撃しないよう免疫力が弱まる為と思われます)ようなのですが、出産後に元に戻ることもあります。
ただ産後に悪化しても、薬による調節で症状は落ち着いていくようです。
一般的なバセドウ病の症状や治療法については次のページをご参照下さい。
バセドウ病での妊娠時の薬について
妊娠中でのバセドウ病の治療は、チウラジールやプロパジールといった抗甲状腺薬やヨウ化カリウムといったものが中心となるようです。
妊娠中に薬を飲むというのは何か不安を感じるかもしれませんが、これらの薬による胎児への影響は今のところ見られていないそうです。
薬の服用については医師の指示にしっかり従うことで、ほとんど問題はないようです。
自己免疫疾患の1つにアトピー性皮膚炎があります。
アトピー性皮膚炎に関しては次のページをご参照ください。
アトピー性皮膚炎 成人型の症状と原因・治療について
アトピーの症状【赤ちゃん・子供・大人別】と治し方
奇形児の可能性について
妊娠中にバセドウ病の治療で、抗甲状腺薬のメルカゾールを妊娠初期に服用したケースにおいて稀に赤ちゃんの頭皮の一部が欠損するなどの先天異常が見られることがあるようです。
ですので、薬の服用は先に記載したチウラジールやプロパジール、ヨウ化カリウムが中心となっているようです。
あと赤ちゃんへの影響として考えられるのは、バセドウ病特有の抗体で甲状腺刺激抗体というものがあり、この抗体は妊娠後期になるに従い低くなるケースが多いのですが、妊娠後期も高い場合に、この抗体が胎児の甲状腺を刺激してしまう場合があるようです。
そうなると稀に赤ちゃんの出生前後に甲状腺機能亢進症が起きることがあるようです。
ただこの抗体は赤ちゃんが生まれて1ヶ月前後で消えていくので、しばらくは経過観察が必要となりますが一時的なもののようです。
ちなみにバセドウ病の薬を飲んだ妊婦さんから先天異常のある赤ちゃんが生まれる割合は、健康な妊婦さんの場合と同じと言われています。
妊娠中の風邪につきましては次のページをご参照ください。
メルカゾールの服用について
画像出典:http://claimant.cocolog-nifty.com/blog/
先に記載したように妊娠初期にメルカゾールを服用したケースにおいては稀に先天異常が見られる場合があります。
妊娠初期の時期としては特に妊娠4~7週は,メルカゾールを避けた方が無難だとされておりますが、具体的に妊娠初期のどの時期までにメルカゾールを止めれば問題ないのかといったことは明確化されていないようです。
メルカゾールはチウラジールやプロパジールよりも効果が高いことから、使われがちですが、妊娠を予定さている場合は医師と相談しながら計画的に薬の服用を考えることが大切になります。
自己免疫疾患の1つに喘息があります。
喘息に関しては次のページをご参照ください。
気管支喘息と喘息性気管支炎の違いは?治療法と発作時の対応
喘息の原因はストレス?大人になってからの発症は治る?
バセドウ病だと妊娠しにくい?
バセドウ病になると甲状腺ホルモンが正常にコントロールされていない状態になることによって、生理周期の乱れや無月経に陥ったりします。
完全に不妊になるというわけではありませんが、妊娠しにくい状態になるのは事実でしょう。
生理周期の乱れはどうしても妊娠しにくくなってしまうので、普通の状態の方と比較した場合はマイナスとなります。
そのため、バセドウ病の方で妊娠をしたいという方は生理周期を正常に戻すために、治療薬を使った投薬治療を受けられるのが良いでしょう。
ただし、バセドウ病は妊娠しにくいという部分よりも妊娠した後に流産や早産をする恐れがあるという部分に気をつけた方が良さそうです。
授乳中の薬の赤ちゃんへの影響について
先に出産後にバセドウ病が悪化する場合があると記載しましたが、出産後の授乳時に服用する薬の赤ちゃんへの影響ですが、抗甲状腺薬のチウラジールやプロパジールの場合、母乳中の濃度は血液中の濃度の10分の1とかなり低くなり、薬の量をしっかり守れば授乳しても問題ないとされています。
医師に問題のない薬の量を確認し、安心して服用されると良いかと思います。
妊娠を機に糖尿病を発症するケースも稀にあります。
糖尿病に関しましては次のページをご参照ください。
妊娠糖尿病の症状とは?小児【子供】糖尿病とは?
糖尿病の症状や原因は?合併症の危険性や治療法は?
糖尿病の症状や予防法は?足でチェックする方法は?
糖尿病の検査方法や検査機器・キットは?その費用は?
糖尿病での合併症 発症時期と発症率は?予防方法は?
授乳中のメルカゾールの影響について
抗甲状腺薬のチウラジールやプロパジールの場合は薬の量をしっかり守れば赤ちゃんへの影響は問題ないと記載しましたが、メルカゾールの場合はどうなのでしょうか?
メルカゾールの場合は血液中の濃度と母乳中の濃度がほぼ同じになります。
しかしながらこの薬の場合でも、一定量以下の服用ならば、授乳しても問題ないとされています。
ただバセドウ病の状態によって、一定量以上の服用が必要な場合もあります。
このような場合でも、抗甲状腺薬は服用してから6時間ほど経つと母乳中の濃度はかなり低くなりますので、メルカゾールを服用してから6~8時間あければ母乳を与えても問題ないとされています。
バセドウ病の完治に関することにつきましては次のページをご参照下さい。
バセドウ病での妊娠におけるつわりについて
妊娠初期の段階ではヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)というホルモンが分泌され、量が増えます。
このHCGには甲状腺ホルモンの分泌を増やす働きがあります。
このことで、稀に甲状腺機能亢進症が生じる(妊娠性一過性甲状腺機能亢進症と言います)場合があり、この時につわりが酷くなったりします。
小さいお子さんがいる場合、「りんご病」や「手足口病」「おたふく風邪」「インフルエンザ」などに注意しましょう。
これらの症状に関しては次のページをご参照ください。
りんご病の症状とかゆみについて 大人の場合は?妊婦は?
手足口病の感染力はいつまで?経路や大人の対策は?
おたふく風邪は潜伏期間にうつるの?大人・妊婦は危険?
インフルエンザ予防接種の効果はあるの?期間は?
インフルエンザ脳症の症状と予防法は?
インフルエンザワクチン 2015年度は4種類の4価
出産後自己免疫性甲状腺症候群について
画像出典:http://koujousen.net/
出産後に出産後自己免疫性甲状腺症候群といって、自分で自分の体を攻撃してしまう物質ができてしまうことがあります。
出産後自己免疫性甲状腺症候群にはバセドウ病や甲状腺機能低下症(橋本病など)があります。
過去に甲状腺の病気になったことのない方でも出産後の5%の女性に生じると言われています。
女性の1割の人が慢性甲状腺炎を患っていると言われており、このような女性が出産後自己免疫性甲状腺症候群になりやすいようです。
ちなみに慢性甲状腺炎にかかっていても、甲状腺の腫れなど異常が出る人は少数なので、気づかないケースが多いようです。
自己免疫性の症状として花粉症があります。
花粉症につきましては次のページをご参照ください。
花粉症で咳が止まらない 夜眠れない対策
花粉症薬おすすめの市販薬 妊婦や子供用は?
花粉症対策 食事やお茶、アロマ、グッズなど
花粉症の時期・ピークは?9月・12月は?花粉のカレンダー
花粉症での頭痛と喉の痛み・発熱・寒気・吐き気などの対策
花粉症の注射の種類と効果と費用は?副作用は?
バセドウ病になる原因
バセドウ病というのは自己免疫疾患と言って、自分の免疫が誤って自分の体を攻撃する抗体が作られることで起こります。
具体的にはバセドウ病の場合は甲状腺を刺激する抗体が過剰に作られ、甲状腺ホルモンが過剰に分泌され引き起こるものです。
こういった自己免疫疾患の原因ははっきりと解明していないのですが、遺伝的な要素を含め、多数の要素が重なって生じると言われています。
その要素の1つにストレスがあります。
強いストレスがかかると免疫系に悪影響を及ぼすことは分かっており、この免疫系への影響で誤作動が起こることが十分考えられます。
自分の体を守る免疫が自分を攻撃する症状から、もしかしたら自分を責めるタイプの方がなりやすい病気なのかもしれません。
心当たりがある方は是非、人間は完璧にはなれませんので、自分のことをあまり攻めずに肯定的に考えるようにされるのもプラスに働くかもしれません。
バセドウ病の食事に関することにつきましては次のページをご参照下さい。
バセドウ病と妊娠につきましては、次のサイトも参考にしてみて下さい。
医療法人 神甲会 隈病院 バセドウ病と妊娠・授乳
最後に
バセドウ病で甲状腺ホルモンが過剰の状態で妊娠すると、流産や早産、妊娠中毒症の危険が高くなるので、甲状腺ホルモンの濃度を正常にした上で、妊娠するのが良いです。
基本的に正しい薬の処方を行えば、普通の女性と同じように出産ができます。
出産後の授乳においても、同様に医師と相談しながら適切な治療を行えば基本的には問題ありません。
出産後にバセドウ病が悪化することもありますが、薬による調整で症状が落ち着くケースがほとんどです。
バセドウ病でも、適切な対処をしていけば、普通の女性と同じように出産できますので、お子さんが欲しい方におかれましては、前向きに考えられると良いかと思います。
LEAVE A REPLY