紫斑病性腎炎の症状や原因・検査・治療法について
紫斑病性腎炎とは?検査診断法や治療法と予後
紫斑病性腎炎はあまり知られていない病気なので症状や原因を聞かれても分からないという方が多いでしょう。
それに伴って検査診断法や治療方法及び予後などについても知られていないことの方が多いです。
良く知られている病気ならば対処法も何となく思いつくかもしれませんが、耳にしたことのないような病気になるとどのように対処すれば良いのか分わからないことでしょう。
本記事ではこの紫斑病性腎炎について症状や原因・検査診断法・治療法を中心に記載して参りたいと思います。
紫斑病性腎炎とは?
斑状の皮下出血によって発生する紫斑を伴い発症する腎炎がこの紫斑病性腎炎となります。
血管性紫斑病の一症状であり、年間10万人あたり約20人が発症するという指定難病の一つで侮ってはいけない病気となっております。
アレルギー性紫斑病になってしまった方が腎炎を発症してしまうと紫斑病性腎炎になるということで、アレルギー性紫斑病の合併症となります。
難しい説明になりますが「糸球体にIgAが沈着することを特徴とする糸球体腎炎」となります。
風邪などの感染からアレルギー性紫斑病になり、紫斑病性腎炎に繋がるケースが多いとされていますが、この病気そのものはウイルス性や細菌性によるものではありませんので他の人に移ることはありません。
子供が発症することが多いのですが、成人期でも発症するケースがあります。
症状について
紫斑病性腎炎の症状はまず紫斑がたくさんできてしまうことです。
それ以外には関節痛、腹痛が発生したりします。
基本的に紫斑は下腿に多くなりがちで、やや隆起した点状出血斑が複数発生します。
やや隆起するので触って気がつく人もいるでしょう。
この出血斑は患者の100%に発生するので確定的な症状と言えるでしょう。
ただ、この出血斑は多少の隆起があったとしても触って気がつかない人もいますし、痛みが発生しないものも多いので、これといった自覚症状が無いまま症状が進行するケースもあります。
人によっては微熱や倦怠感が出ることもありますが、気がつかない人もいるのです。
ただし、腎炎が悪化して急性糸球体腎炎といった重い状態になると頭痛といった別の症状が出たりします。
腎炎になると15%が血尿のみ・8%が血尿+蛋白尿・15%が急性腎炎症候群・23%が腎炎+ネフローゼ症候群・8%がネフローゼ症候群といった症状の棲み分けがあります。
紫斑病性腎炎は見た目の変化も多少ありますので、紫斑がたくさん発生することで気がつく人も多いですが、これが紫斑病性腎炎とすぐ気がつける人は少ないので、他の症状は何かも把握しておかれると良いでしょう。
原因について
紫斑病性腎炎の原因ははっきりとしておりません。
発症時期は秋から冬に多いといった特徴や風邪といった病気から発症するという情報もあるのですが、正確な原因は見つかっていないのです。
そのため、予防するのも困難であり国からも指定難病という位置づけになっております。
遺伝によって発症するという話もありますが、確かに一部は家庭内発症が確認されているものの、今のところは遺伝する病気ではないという説が有力であり、原因は不明なままなのです。
成人よりも子供の方が発症しやすくその年齢も4~6歳に発症のピークであり、男性の方が多いという情報もありますが、それでも原因は特定できておりません。
検査・診断方法について
米国リウマチ学会に診断基準がありますので、それが参考になるでしょう。
具体的には①隆起性の紫斑があるのか、②急性の腹部疝痛はあるのか、③生検組織での小動静脈壁の顆粒球の存在はあるのか、④年齢が20歳以下なのかの4種類です。
これらの4種類のうち2つ以上が該当したら紫斑病性腎炎と診断されます。
治療方法について
原因が特定できておらず、指定難病という扱いになっているこの紫斑病性腎炎は治すことができるのでしょうか?
実はこの病気は指定難病に位置付けられているのですが、軽度なものであれば、アレルギー性紫斑病とともに自然治癒してしまいます。
重症化してしまうケースもあるようなのですが、基本的には自然に発症して自然に治ってしまうようです。
腎炎になってしまい腎機能に悪影響が出ている方はタンパク尿が出るようになるなどの検査結果に変化が出てきますので、この場合には降圧薬や抗血小板薬やステロイドなどの薬を使って内服による通院治療が行われるようです。
尿たんぱく質が多い場合は病院所見でステロイド薬などを中心にした多剤併用療法を行うことになりますが、このような治療になった場合は最初の1ヶ月程度は入院しながらの治療となるようです。
予後は?
紫斑病性腎炎は8~9割の確率で自然治癒すると言われております。
自然治癒する場合は予後も特に問題は無いと考えられており良好といえるでしょう。
問題は腎機能低下に繋がってしまってタンパク尿といったトラブルに見舞われた場合です。
この場合は自然回復ではなく本格的な治療が必要になってしまいます。
重症の腎炎に進行し、腎不全になってしまった場合の予後は良いとは言えませんが、それ以外だと基本的には良好と考えて良いでしょう。
ただし、自然治癒したとしても10%程度で再発するという情報もありますので、油断してはいけません。
定期的な経過観察が必要となる病気の一つと言えるでしょう。
1989年以前ではしっかりとした治療法が分からなかったために発症後15年の生存率は約80%で2割程度の患者が腎不全となってしまったので、予後はそこまで良いものではなかったのです。
1990年以降に紫斑病性腎炎であると診断された患者の15年生存率は98.8%と非常に改善しているので、昔と比べると確実に予後は良くなっていると言えるでしょう。
紫斑病性腎炎の参考サイトもご参考にしてみて下さい。
難病情報センター:紫斑病性腎炎
最後に
以上、いかがだったでしょうか?
本記事では紫斑病性腎炎についてお伝えして参りました。
この病気は色々と改善する方法については進化を遂げていることが予後の調査によってはっきりしたのですが、未だに原因がわからずに指定難病という位置づけから脱しておりませんので、厄介な病気であることは変わっていないと言えるでしょう。
原因が不明なので対処するのが困難ということで「難病医療法に基づいて厚生労働大臣が指定する疾患」という位置づけになるのでしょうが、難病なのに自然治癒してしまう可能性が高いというのは不思議な感じがするかもしれません。
しかし、悪化して腎不全になる恐れもありますし、見た目的にも紫斑がたくさんできてしまうという好ましくないものでもありますので親は放置することなく必ず病院に連れて行って診てもらいましょう。
ただし、一般的な内科や外科では病気を特定できないケースも多いので、症例が多い子供の対応に慣れている小児科の先生にご相談するのが良いでしょう。
LEAVE A REPLY