認知症の初期症状と進行段階は?若年性認知症などの症状は?
若年性など認知症の初期症状と進行段階について
皆さんが一度は聞いたことのある認知症。
かつて痴呆症と呼ばれ、治ることのない病気と言われておりましたが、現代医療では症状の改善や段階を遅らせることも可能になりました。
そこで大切なのは早期に初期症状に気が付いて適切な治療を始めることです。
今回は認知症の初期症状についてと複数ある認知症のそれぞれの特徴を記載していきたいと思います。
認知症の初期症状
認知症は完治させるのが難しい病気です。
しかし現代医療では認知症の早期発見により進行を遅らせることもあれば症状の改善も行うことができる病気になっているのです。
そのために大切なのは認知症の初期症状に周りの人がいち早く気が付くことです。
進行性の病気である認知症は二つの症状に分かれます。
それは「中核症状」と「周辺症状」になります。
簡単に二つの違いを説明しますと、「中核症状」は脳への障害が原因で起こる直接的な事象のことで記憶力・判断力・認識力低下に伴った症状があらわれます。
これはどのような人でもある程度同じ症状としておきます。
「周辺症状」はその「中核症状」の進行度度合い、生活環境、本人の性格に影響されて症状として現れます。
これは人によっては症状が異なってくることがあります。
ではそれを踏まえたうえで初期症状とはどのような形で現れるかを記載していきます。
・同じことを何度も言う、何度も繰り返し同じ話をする
・物忘れが激しくなり、自分がいま行おうとしたことも忘れてしまう、時間の約束が守れない
・落ち着きがなくなり頑固になる、また怒りっぽくもなる
・単純な仕事や計算や家事などで失敗が増える、または時間がかかるようになる
・服を同じものばかり選び、季節外れの格好をすることが増える
基本的に初期症状は「中核症状」に該当します。
これらの症状に当てはまることがあるのでしたら認知症の前段階である軽度認知障害の可能性があります。
進行する段階
認知症には症状による段階がございます。
ここでは認知症において一番なる確率の高い「アルツハイマー型認知症」において説明していきます。
「アルツハイマー型認知症」は段階によって軽度認知障害→軽度→中等度→高度と変化していきます。
発症の進行速度は人によってばらつきがありますが、発病から4~6年で高度に進行するのが一般的であるとされております。
ただし、若年性アルツハイマー病の進行速度はお年寄りのそれより早まります。
まず軽度認知障害の場合はまだ日常生活に支障はありません。
認知機能の一部に多少問題がある程度にとどまります。
次に軽度の場合は時間→場所→人物の順番で認識できなくなっていきます。
そのため軽度の初期では時間がわからないというケースが多く見受けられます。
またこの異変は本人が一番感じており、うつ状態や怒りっぽくなることがあります。
中等度は一番介護が大変と言われております。
その理由は足腰が元気な状態であるのに「周辺症状」である徘徊や暴力行為が最も出やすい時期であることにあります。
この時期が本人の心の乱れが一番大きくなる時期です。
高度になると寝たきりの状態へ移行します。
前述したとおり初期症状が見られた場合に専門医にすぐ診断することで、症状を遅らせたり改善させたりすることができることを忘れないでください。
アルツハイマー型認知症の症状
それでは具体的にアルツハイマー型認知症における段階別の症状を記載していきます。
アルツハイマー型認知症は軽度認知障害→軽度→中等度→高度と段階によって症状が変わります。
具体的には下記のようになります。
[軽度認知障害]
・項目「認知症の初期症状」参照、「あれ」「それ」といった代名詞が増える
[軽度]
・数分前に言ったことを忘れて、何度も尋ねることが増える、作り話も増え始める
・印鑑や財布等が見つけられなくなり身近の人を疑い始める
・趣味や習い事に対する興味が薄れる、また1日中ぼ~っとしていることが増える
・簡単な電子機器の使い方がわからなくなる
[中等度]
・道路をはだしで歩いたり、真夏に長袖を着たりする
・食事が一人で食べられなくなり着替えにも介護が必要になる
・言葉が出なくることがあり、言葉が出た時でも意味が通じないことがある
・外出した先から帰れなくなる
・トイレ以外の場所で排泄することがある
[高度]
・子供や配偶者などの身近な人の顔がわからなくなる
・表情が動かなくなり話しかけても反応がなくなる
・食べ方がわからなくなり、食べ物を受け付けなくなる
・歩行が困難になり寝たきりになる
レビー小体型認知症の症状
認知症の一つであるレビー小体型認知症について説明いたします。
これはアルツハイマー型認知症に次いで発症事例の多い認知症です。
この病気は男性のほうが女性より発症率が2倍ほど高いです。
レビー小体は神経細胞にできる特殊なたんぱく質になります。
そのレビー小体が大脳皮質や脳幹にたくさん集まることでレビー小体型認知症を起こします。
そのことで神経の伝達がうまくいかなくなり認知症の症状が起こるのです。
症状といたしましては、幻覚や幻視が起きる・手の震えや体のバランスが取れなくなる・意識が遠のくことがある・薬が効きすぎたり副作用が出たりする・寝言が増え、寝言が大きくなる・うつ病になるといったものがあります。
若年性認知症の症状
若年性認知症は医学的には64歳以下の人が認知症と判断されると若年性認知症と呼ばれるようになります。
若年性認知症の怖いところは若いという思いがあるため認知症であると思い至らなかったり、うつ病や更年期障害に間違われることがあるため診断までに時間がかかる可能性が高いところです。
症状としては同じことを何度も聞くことが増える、今まで難なくこなしていたことが手間取るようになる、趣味をしなくなる、テレビや新聞を見なくなる、知っている道なのに迷う、電車やバスで乗る駅や降りる駅を間違えるといったものがあります。
ここでアルツハイマー型の場合は失認や視空間失認が起こりやすくなり、レビー小体型では幻視や手の震えの症状が起きます。
前頭側頭型認知症の症状
前頭側頭型認知症とは、前頭葉と側頭葉の委縮によって起こされる認知症です。
なかでも前頭葉は行動を行う上での司令塔の役割を担っているところでもあり、認知症でこの部分に委縮が起こると意欲の低下や計画の実行といった行動がとれなくなっていきます。
この病気はアルツハイマー病と比べると患者数が少なく有効な薬がまだできておりません。
また、認知症の一般的なイメージは物忘れなどの記憶障害だと思われますが、この前頭側頭型認知症は物忘れがあまりありません。
では具体的な症状はというと、同じ言葉や行動を繰り返す、味付けが異常に濃い物になる・夜中に冷蔵庫をあさる・同じものばかり食べたがる、というような食事に対する異常行動が増える、集中力がなくなる、あらゆることへの関心がうすくなる、口数が減る、ルールを無視した突飛な行動をすることが増える、といったものがあります。
脳血管性認知症の症状
脳血管性認知症はくも膜下出血や脳出血、脳梗塞等の脳の血管の病気により、脳の細胞に酸素が送られなくなり脳の機能が低下することで引き起こされる認知症です。
症状として、自発性の低下、意欲の低下、不眠、感情のコントロールができない、転びやすくなる、呂律が回らない、手足がしびれるといったものがあります。
特に感情のコントロールについては突然泣いたり、怒ったりすることがあります。
例えば日常の会話で「天気が良くていいですね」と聞いただけで泣かれてしまったりすることもあるのです。
それとは別に機嫌がよさそうと判断して話しかけたら突然怒り出すということもあります。
その他の認知症の症状
今まで記載してきた認知症の他にもアルコール性認知症、正常圧水頭症等があります。
アルコール性認知症はその名前のとおり、アルコールを大量に飲み続けたことでB1が欠乏し、栄養障害や脳梗塞などを引き起こした結果、起きる認知症になります。
症状として物忘れ等に代表される記憶障害、季節や時間がわからなくなる見当識障害などが起きやすいです。
また、作り話も増えます。
正常圧水頭症は頭の中で作られる脳脊髄液が異常に頭に溜まってしまう病気です。
この病気はアルツハイマー型と比べると治療できる可能性が高い認知症でもあります。
意欲低下、集中力低下、歩行障害、尿失禁などの症状が起こります。
痴呆症と認知症の違いは?
痴呆症と認知症は同じ意味の言葉なので違いはほとんどありません。
一昔前までは認知症ではなく痴呆症という言葉が使われておりました。
しかし、痴呆という言葉が本人や家族を大きく傷つけて、発症した場合は出来る限り隠そうという考え方が広まってしまったので早期発見が遅れてしまうという問題が多く起こりました。
これを重く見た国が「痴呆という言葉は適切かどうか」を検討した結果、不適切ということで平成16年12月に認知症という言葉に改めました。
なので、皆さんも痴呆症という言葉は使わないほうがいいかと思います。
認知症の症状や進行のし方などにつきましては、次のサイトも参考にしてみて下さい。
LIFULL介護 認知症の進行のしかた|中核症状と周辺症状
最後に
以上、いかがだったでしょうか?
「認知症の初期症状と進行段階は?若年性認知症などの症状は?」と題して、今回は複数の認知症に対するそれぞれの症状を説明してまいりました。
複数の種類のある認知症ですが治療において大切なことは変わらず、早期発見につきます。
そのため認知症に対する初期症状を認識することが結果的に家族や親友を救うきっかけになることも多いのです。
認知症は種類によって症状が異なるものではありますが、すべての種類が怖い病気であることは変わりません。
ですが一番恐怖を感じているのはそんな病気に発症してしまった本人であるということを忘れないでいただきたいと思います。
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