足首やくるぶし・膝など滑液包炎の起こる部位や原因と治療法
滑液包炎の症状や原因・診断・治療法【ガングリオンとの違い】
滑液包炎は滑液包(通常関節の周囲にある袋で、関節の動きを滑らかにする役割を持つ)で炎症が発生してしまうことで症状が出てくるもので、足首やくるぶし、膝など様々な部位で発生します。
この症状にかかった方は原因や治療法を知りたいと思われることでしょう。
特に身体を動かす部活動に所属している人やスポーツ選手にとってはこの滑液包炎は致命的なものとなりますので、気になるかと思います。
本記事ではこの滑液包炎に関する色々な情報をお伝えしたいと思います。
滑液包炎とは?起こる部位は?
滑液包炎(かつえきほうえん)とは関節や腱の摩擦を少なくする効果のある滑液を含んでいる袋で炎症が発生してしまい生じるものです。
この袋は滑液包と呼ばれていて本来ならば潤滑油を出す袋として機能するものなのですが、何らかの刺激やトラブルによって炎症が発生してしまったりします。
炎症が発生すると水が溜まるようになって滑液包水腫となってしまい、最終的には滑液包が分厚くなるのです。
スポーツ選手がたまに使う表現で「水が溜まる」と言いますが、原因はこの滑液包炎にあるかもしれません。
この滑液包は関節の周囲の骨と関節の間や腱の下や皮膚の下に存在しており、身体を動かすことで生じる摩擦を減らしてすり減るのを防止する機能があり筋肉の下にも存在しております。
つまり、かかと・肘・股関節・肩関節・骨盤・くるぶし・膝・指などあらゆる部位に存在しているので、炎症があちこちで起こる可能性があります。
ただし、頻繁に使う部位や刺激が発生しやすい部位で生じやすいので、この滑液包炎トラブルが発生しやすい部位は肩関節・股関節・肘・かかと・足の指・膝となっております。
症状は?
滑液包炎になると炎症が発生している部位に痛みが発生するようになります。
たとえば肩にある滑液包で炎症が発生すると上着を着る動作などで痛みを感じられるようになり普通に動かせなくなったりします。
足関節で発生した場合は足を動かすたびに痛みが発生するようになり炎症が悪化するとこぶのように腫れ上がってしまうことがあります。
このはれ上がった状態から捻挫と勘違いしてしまうことが多いのです。
足首の場合は足首の前の部分を擦りあげられても痛みが発生するので正座といった体勢も御法度になるでしょう。
発生した箇所を使うことで痛みを感じられるようになり腫れることも多いので、見た目から何らかの異変が発生しているとすぐに気がつけます。
肘や膝は滑液包が皮膚に近いのでひどい炎症になって腫れ上がると見た目もすぐに変わってしまいます。
肘の場合は不快感が無いので気がつかないことも多いのですが、見た目の変化によって気がつくという人もいるようです。
膝の場合は歩く時に膝を動かすと痛みが出るといった支障が出てくるので生活に直結します。
原因について
滑液包が炎症してしまうことで滑液包の壁が厚くなって痛みが出るようになることが原因なのですが、そもそも滑液包が炎症してしまう原因は特定できていないので原因不明な状態が続いているようです。
何らかの細菌によって炎症が起こるというパターンや感染症や痛風から炎症が起きてしまうパターンもあるので原因はバラバラと言えるでしょう。
正座といった負荷のかかる動作をし続けることで発症してしまうこともあるようですし、突発的な外傷によって発症することもあるようです。
スポーツ選手で関節部分を酷使していると発症することがあるというお話もありますので、特定部位のみを酷使し続けるのは発症に繋がる可能性を秘めております。
しかし、営業として外を出歩いている人が突然足首やくるぶしの横に大きな腫れができてしまって発症するというパターンもありますので何とも言えません。
歩くという動作はそこまで負荷がかかっているとは思えませんが、とりあえず酷使している部分がある人は発症する確率が高くなると考えておくしかないでしょう。
診断方法について
滑液包炎の診断方法は滑液包の周囲を触った時に痛みがあるかどうかでまずは判断するようです。
その他にも特定の動作や圧迫するような動作によって痛みが出るような場合は疑いが強くなるでしょう。
その後は炎症が発生している部位、痛みが発生している部位がどうなっているのかをはっきりさせるために超音波検査またはMRI検査を行うことになるようです。
大きく腫れている場合は局所麻酔薬を注射した後に滑液包の吸引を行って成分解析をすることになるでしょう。
このように問診と触診とMRIや超音波を使った検査で、必要に応じて成分分析を行うというのが診断の基本のようです。
治療方法について
何らかの細菌によって炎症が発生している場合は抗生物質を使って細菌を退治するだけですが、基本的には原因不明か酷使しすぎによる摩耗によって発生してしまっているので安静にすることが解決策になっているようです。
使わないで放置することで治る可能性が高まるのです。
もちろん、かなり悪化して激痛が走るという人は痛みを和らげるために氷で冷やすとか鎮痛剤の一種である局所麻酔薬やコルチコステロイドを滑液包に直接注射するといった対応をすることもあるようです。
ただし、これらの対応によっても痛みが続くという方は手術による治療となってしまうでしょう。
痛みが少なく入院する必要が無いと言われた方でも、刺激を与えることそのものが良くありませんので、安静にすることを心がけることになると思われます。
足に出来てしまったという人は当分の間、会社を休むしか無いでしょう。
歩くことでダメージが蓄積してしまうケースが多いので、痛みがなくなるまでは出社は出来ないという考え方が一般的です。
安静にすること、動かさないことが大切なので必要に応じてサポーターや包帯も使いましょう。
何れにしましてもここは医師に相談しながら進めていくことになるかと思います。
滑液包炎とガングリオンの違い
このようなトラブルに対して詳しい人は、滑液包炎ではなくガングリオンを疑うことが多いようです。
個人ブログで滑液包炎になってしまった方が「最初はガングリオンだと思って病院に行ったら滑液包炎と言われて何のことか分からなかった」といった書き方をしているので、知名度的にはやはりガングリオンが上なのでしょう。
このガングリオンと滑液包炎の違いを医学専門ジャーナルなどの言葉をそのまま使って表現すると「滑液包炎は骨膜で裏打ちされた線維皮膜をもつ嚢胞で、ガングリオンは滑膜にある裏打ちのない嚢胞」とのことです。
はっきり言ってこれだけでは一般の人には意味が分からないでしょう。
正直、一般の人には写真で見ても非常に似ているので見た目では分かりません。
ガングリオンの原因は関節の動きをなめらかにする液体を内部に存在させている関節包と呼ばれる所から液体が大量に流れ込むことで発生するもののようです。
これはゼリー状になるので摘出すると違いが分かると言われております。
滑液包炎は滑液包が炎症して腫れ上がることで発生するものなので症状は似ているのですが原因は違うと考えるしかないようです。
滑液包炎につきまして、次のページも参考にしてみて下さい。
MSDマニュアル 家庭版 滑液包炎
最後に
以上、いかがだったでしょうか?
本記事では足首やくるぶしで発生してしまう滑液包炎について記載しました。
酷使してしまうと発生してしまいやすい症状の一つではありますが、明確な原因が未だにはっきりしていないために予防が難しい厄介なものとなっております。
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