アトピーのステロイド薬の種類と副作用!完治する?
アトピーのステロイド薬と副作用について
アトピーの治療薬といえば、「ステロイド薬」という名称を第一に思い浮かべるかと思います。
実際、アトピーで起こる炎症の症状に対して高い抗炎症作用を発揮しますが、「副作用」についての懸念を抱く方も多いかと思います。
本記事ではステロイド薬の副作用を中心にお伝えしたいと思います。
アトピーのステロイド薬の種類
アトピーの治療に用いられる「ステロイド薬」といえば、塗り薬としてのイメージが強いと思われます。
確かに、多くの場合において塗り薬のステロイド薬を用いるのですが、アトピー治療のステロイド薬においてはいくつかの種類があります。
まず「強さ」の違いです。
「ストロンゲスト」「ベリーストロング」「ストロング」「ミディアム(マイルド)」「ウィーク」の5段階の強さがあります。
詳しくは後述しますが、強さごとに用法が異なります。
もう一つは「塗るか飲むか」です。
ステロイド薬といえば塗り薬としてのイメージが強いのですが、実は「飲み薬のステロイド薬」というものも存在します。
これも詳しくは次の項で解説しますが、一言にステロイド薬でアトピー治療をすると言っても、それには種類があるということを分かって頂けたらと思います。
内服薬について
一般的には「塗り薬」「外用薬」としてのイメージの強いアトピー治療のステロイド薬なのですが、先ほども記載しましたが、「内服薬」つまり「飲み薬」としてのアトピー治療用のステロイド薬も存在しているのです。
基本的に医師から処方されるのは外用薬であることが多いです。
しかし、外用薬の使用において症状の改善が認められなかった場合には、内服薬が処方されるというケースが多いです。
その効果は、外用薬よりも一般的には、はっきりとした改善効果がみられることが多いです。
しかし、後述の「副作用」のリスクが高く、そのため最初から内服薬を処方することは少ないのです。
もちろん、副作用の現れ方には個人差があり、必ず副作用が現れるとも言い切れないのですが、ステロイドの役割を考えると副作用が出るのもやむなしと考えておかしくないのです。
副作用の内容について
ステロイド外用薬で見られる副作用は、大別すると「局所的副作用」と「全身的副作用」の2種類があります。
局所的副作用は、塗り薬を塗布した場所を中心として現れる副作用です。
考えられる副作用の内容としては「皮膚萎縮」「毛細血管拡張」「色素異常」などの皮膚や周辺組織に関する症状から、「細菌感染の誘発」といった副作用も見られます。
一方、全身的副作用は患部から吸収された成分が血液に乗って全身に回った結果として発症するものです。
「易感染症」「高血圧」「糖尿病」など、さまざま考えられ、これは内服薬や注射薬によるステロイドの副作用と同じように現れます。
しかし、ステロイド外用薬による全身的副作用は適切なレベルの薬を適量、適切な方法で使用している限り、そう簡単には起こりません。
特に、全身症状を起こすほどの成分量が血液中に混入するのは、よほど大量のステロイド薬を使用しないかぎり起こり得ないとされています。
ステロイドで完治する?
アトピー治療のために処方されるステロイド薬ですが、これでアトピーを完治させることは出来ません。
正確に言えば、ステロイド薬の持つ役割が完治を促すものではないのです。
ステロイド薬がアトピー治療に用いられる理由は、その「消炎作用」にあります。
アトピーは皮膚の炎症によって激しいかゆみをもたらします。
そのかゆみを抑えるために、炎症を抑える目的でステロイド薬が使用されるのです。
「炎症を抑える」=「アトピーの根本的な治療」というわけではありません。
少し難しい話をすれば、ステロイド薬の使用は「対症療法」であり、病気を治してしまう「根治療法」ではないのです。
なので、ステロイド薬を塗れば絶対にアトピーを治せるというわけではないのです。
アトピーのステロイド薬の強さ
前述のとおり、外用薬のステロイド薬には「強さ」というものがあり、「ストロンゲスト」「ベリーストロング」「ストロング」「ミディアム(マイルド)」「ウィーク」の5段階に分けられています。
これは、単純な「効き目の強さ」ではなく、「成分の吸収のされやすさ」を表します。
それぞれにおいて「適切な使用部位」や「適切な使用期間」等に違いがあります。
また、大人と子供でそれらの内容に差があり、特に「ストロンゲスト」に分類される薬は子どもには処方することは出来ません。
その他、「ウィーク」に分類される薬は吸収されにくいのですが、ステロイドの含有量は多いので注意が必要になります。
この強さのランクは、新しい薬が発売されることで変動する可能性もあります。
ステロイド薬の塗り方
ステロイド薬を使ってアトピーを治療したいと思うのであれば、まず「正しい塗り方」というものをマスターする必要があります。
まず最初に、ステロイド薬を適量、指の腹を使って患部にすっとなぞります。
もし、患部に「かき壊し」「化膿」といった何らかの異常が見られている場合には、指ではなく「ガーゼ」を使って塗布する等の工夫が必要になります。
一般的な塗り薬の使用量の目安として「フィンガーチップユニット」と呼ばれるものがあり、手の指の第一関節までの長さくらいの量が基準となっています。
塗り方だけではなく、「使用期間」についても考慮する必要があります。
長期使用(約2週間)は避け、1週間経過しても効果が現れない場合には医師に相談しましょう。
市販のステロイド薬を使って大丈夫?
アトピー治療に効果的なステロイド薬は、ドラッグストア等でも販売されています。
処方薬ではないのに、アトピー治療に効果があるのかと疑われる人も少なく無いでしょう。
実際の所、市販のステロイド薬は強さのランクで言えば真ん中の強さまでしか販売されていないので、そんなに強い薬は売られていません。
また、ステロイド薬には「アンテドラッグ」と呼ばれるものがあり、これは「体内に吸収されると薬としての機能を失う」というものであり、皮膚表面での消炎作用はそのままに、体内に吸収されることによる副作用の発症を抑えることが出来ます。
これによって安全性が確保されるのですが、アトピー治療にステロイド薬を使用する場合、適切な強さを適切な量だけ使用するということが理想的であり、やはり医師の診断と処方を受けたほうが確実であると言えます。
赤ちゃんや幼児のアトピーでステロイドは使う?
一般的に「ステロイド薬=副作用が怖い」というイメージが有りますが、前述のとおり外用薬を正しい使用法で利用している限り、そう簡単に副作用は起きません。
赤ちゃんの場合は、そもそもアトピーであるのか単なる皮膚炎であるのかの鑑別も必要ですが、アトピー治療の場合にはステロイド薬も使用されます。
赤ちゃんの場合は皮膚が薄いため、弱いランクのステロイド薬でも十分に効果を発揮します。
また、ステロイド薬以外にも保湿剤や免疫調整剤なども使用されます。
ステロイド薬で短期集中的に治療するというケースが多く、その場合にはステロイド薬の使用期間も短く抑えることが出来ます。
何にしても、医師の「ステロイド薬を使用する」という判断に対して過剰に警戒すること無く、治療法を受け入れて早めに治療を終わらせることを考えたほうが赤ちゃんのためなのです。
アトピーを脱ステロイドで治す時のリバウンド
アトピーの治療は、最終的に「脱ステロイド」によって成し遂げられます。
ただし、これは「ステロイドをやめればアトピーは治る」ということではなく、ステロイドで炎症を抑える必要がなくなって、ステロイドの影響を完全に体の外に排出することができれば、という話です。
この「ステロイドの影響を排出する」ということが、簡単にいえば「リバウンド」となるのです。
ステロイドが炎症を抑えるのは、炎症の原因である「免疫機能」を抑制しているからであり、ステロイドの使用中止とともに免疫機能は回復します。
体内に吸収されたステロイドの成分は蓄積されており、これを免疫機能によって体の外に排出しようとする際に炎症が起き、ステロイドによって遺伝子異常を起こした皮膚が剥がれていきます。
アトピー性皮膚炎のステロイド薬につきまして、次のサイトも参考にしてみて下さい。
朝日新聞デジタル アトピー治療「ステロイドは怖くない」 保湿を大切に
最後に
ステロイドに関しては、何かと怖いイメージが定着しています。
確かに、そうした症状を呈する可能性がありますが、全ての患者さんがその症状をもたらされるというわけではありません。
外用薬であるステロイドの塗り薬では、適切な使用法を継続している限りは副作用のリスクは少なめです。
しっかりと医師との細かな連携を心がけて、異常が見られたら速やかに相談して指示を仰ぎましょう。
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