急性腎盂腎炎の症状や原因・治療法は?敗血症の危険も?
完治の目安や急性腎盂腎炎の治療法などについて
急性腎盂腎炎とはあまり耳慣れない疾患かもしれませんが、危険が潜む病気です。
症状や原因そして治療法といったものはどのようなものなのでしょうか?
また先の危険が潜む病気の1つに敗血症というものがありますが、どのような症状なのでしょうか?
本記事ではこの急性腎盂腎炎について触れてみたいと思います。
急性腎盂腎炎とは
まず腎盂腎炎とは「じんうじんえん」と読み、尿をつくる腎臓に細菌が感染して発生する炎症のことです。
基本的に、腎臓から尿道に至るまでの尿の通り道である尿路は無菌状態です。
ここに細菌が侵入して発生する病気を「尿路感染症」と呼びます。
この尿道に入った細菌が膀胱へ到達すると膀胱内で細菌が増えていくようになり、最終的には腎盂や腎臓にまで侵入するようになり、腎盂腎炎になってしまうのです。
そして、急性の腎盂腎炎の場合は突然症状が現れるようになりますが、適切な治療を早期から施していれば5日もあれば症状は落ち着くと言われております。
ここで気が付かずに放っておいて、風邪薬などで対処してしまうと、急性から慢性になってしまうことがあるので要注意と言われております。
症状について
症状の表れ方は、悪寒・震え・発熱・背中や腰の痛み・尿の濁り・頻尿・残尿感といったもので、これらの症状がいくつかまとめて出てくるようになるでしょう。
腎臓の炎症が発生すると腰や背中の痛みが発生することがありますが、これは腎臓が腰に当たる部分に位置する臓器なので、腎臓の痛みから背中や腰辺りが痛むようになってしまうのです。
稀に、下痢の症状を訴える方もいますが、下痢になる理由は分かっておりません。
推察ではありますが、排尿を促すためにできる限りの水分を欲するようになることがあるとのことなので、その摂取で下痢になっているのではないかという考えもあるようです。
原因はストレス?
急性腎盂腎炎とストレスには直接的な関係はありません。
しかし、免疫力が低下している状態になると発症する確率は上昇すると言われているので、ストレスや疲労が溜まっている人の方が免疫力が落ちるので発症しやすいと言えるでしょう。
もともとの原因が、尿路に細菌が入ってしまうことにあるので、そのような状況を作ってしまったこと自体が最大の理由となるのですが、細菌に感染してしまった後の抵抗力はストレスや疲労の度合いによって大きく異なってくるので、関係していると言えると思われます。
治療法について
治療の基本は飲み薬の抗菌薬を服用する薬物治療です。
抗菌薬はβ-ラクタム系薬やキノロン系薬などが推奨されておりますが、腎臓に感染している細菌を殺すこと以外にも、その細菌を大量の尿と共に洗い流すことも推奨されるので、尿の流れをよくするために、水分補給も推進されるでしょう。
また、抗菌薬の治療開始後3日くらいで効果があるのかを、尿や血液培養による原因菌チェックから判断して、効果があるのならその治療を続け、効果が薄ければ別の薬に切り替えることになります。
通常の場合では治療後2~3日もあれば熱も下がって症状も軽くなるのですが、症状が重く薬をうまく飲めないような人の場合は点滴で抗菌薬投与を行うことになるでしょう。
十分な効果が得られないのなら、4~6週間ほど治療を続けることもあるようです。
入院が必要な場合も?
症状が軽い状態なら入院する必要はなく、通院での治療で十分と答える医師の方が多いようです。
しかし、症状が重症化してしまって吐き気や嘔吐がひどく、普通に食事をすることすら困難な人なら入院する必要が出てきてしまうでしょう。
敗血症などの合併症を引き起こしている方も重症化する可能性が非常に高いので、入院する可能性は高まります。
腎盂腎炎は感染症の部類に属してはいますが、人にうつる病気ではないので、通勤や通学に規定はありません。
しかし、治療が遅れると細菌が全身に回ってしまい重篤な状態に追いやられてしまう可能性が高いので、入院治療が必要になってしまうでしょう。
完治までの目安の期間は?
急性腎盂腎炎の治療期間の目安は入院したら1週間程度になるようですが、抗菌薬を使った治療期間を含めると2週間はかかるとのことです。
症状が入院するほど重くはなく、あくまで通院で済ませるレベルなら処方された薬を飲んで水分補給をしっかり行うことで、1週間から10日で症状が治まると言われております。
また、症状がある程度重くて点滴が必要な方でも3~5日ほどあればある程度症状が改善するので、その後は軽度の治療と同じ程度で問題ないとのことです。
療養中の食事について
急性腎盂腎炎になってしまった方の食事についてです。
基本的に腎炎になってしまった人はタンパク質と塩の摂取量について制限がかかってしまうようですが、腎盂腎炎の場合はその限りではなく食事制限を行うことは無いようです。
ただし、膀胱内や尿管内にいる細菌をできる限りたくさんの水分で流し出してしまいたいので、先にも記載していますが水分補給を促されることになるでしょう。
だいたい1.5リットルの水分補給を推進されるようですので、しっかりと補給しましょう。
ただし、偏った食事が推奨されるわけではないので、早く治したいのならしっかりとバランスの良い栄養補給を行いましょう。
細菌によって腎臓や尿管に影響が及んだことが原因ですが、それは体力低下やストレス過剰による免疫力低下も関係しているので、ストレスの解放や疲労からの回復も重要になります。
急性腎盂腎炎から起こりうる敗血症とは?
敗血症とは全身に細菌やウイルスが血液を通して巡ってしまうことで、臓器不全などの全身症状を引き起こす病気です。
具体的には肺炎・風邪・下痢・腎盂腎炎のような尿路感染症などから発症するものであり、それらの原因となった病原菌が体内を巡るようになってしまい、その病原菌から体を守ろうとする反応なのです。
敗血症は重症化してしまうと3人に1人が死亡してしまう危険な症状で、アメリカでは死因の第2位となっているとのことです。
年間20万人が死亡しているという情報があります。
敗血症になると、悪寒・36度以下の低熱・38℃以上の高熱・呼吸数増加・心拍数増加などの症状が出るようになりますが、悪化すると腎不全や循環器不全のような臓器の機能障害が発生するのです。
また、腎盂腎炎から急性呼吸窮迫症候群などの危険な病気になってしまったり、腎臓が弱ってしまって腎機能障害が発生することもあるでしょう。
そして、腎盂腎炎になってしまた方は3分の1の確率で膀胱炎になっていると言われているので、そちらの治療も並行して行うことになります。
急性腎盂腎炎と慢性腎盂腎炎の違いは?
腎盂腎炎には慢性のものもあります。
急性の場合の症状は悪寒や震えを伴った38℃以上の発熱とのことなのでかなりの熱が出ます。
頻尿になることもありますし、トイレのたびに痛みが出ることもあるでしょう。
背中や腰の痛みが発生することもあり自分の体にダメージが発生していることが必然的に分かります。
ただ、急性の場合は抗菌薬の投与でほとんどの場合で治ります。
慢性の場合は最初のうちは発熱も軽微であり頻尿もそこまでひどくないですし、トイレの時に痛みが出ることも稀です。
症状に気がつかない人すらいます。
ただし、慢性化している場合は腎実質(さまざまな腎臓の働きをする実質的な組織)の破壊が行われてしまい腎機能の低下に繋がってしまう恐れがあります。
しかも、慢性の場合は原因菌が薬の耐性を得てしまっていることも多く、基礎疾患がなかなかなくなりません。
このように、急性の場合はわかりやすい症状が出ますし高確率で治るのですが、慢性の場合は気がつきにくく治すことが困難なケースが多いのです。
腎盂腎炎につきましては次のページも参考にして下さい。
急性腎盂腎炎につきましては、次のサイトも参考にしてみて下さい。
最後に
以上、いかがだったでしょうか?
本記事では急性腎盂腎炎について色々とお伝えしてまいりました。
膀胱炎ならおそらくほとんどの方が知っている病気と言えるでしょうが、腎盂腎炎となるとかなり知名度が低下します。
同じような原因で発症する病気ではありながら知名度が大きく異なるものとなっておりますので、発症しやすい女性の方には膀胱炎と共に覚えておかれるとよい病気と言えるでしょう。
腎盂腎炎になっている方は膀胱炎も併発する確率が高いのですが、ストレスや疲労による免疫力低下でどちらも発症しやすくなるので、しっかりと心身のケアを行うようにしてください。
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