PTSDの子供への家族としての接し方および原因と治療法
子供がPTSDの時の家族の接し方について
突然の事故・自然災害・事件、いつ起こるかわからない命の危機に巻き込まれて自分の子供がPTSDになってしまったら、家族はどのような接し方をすればいいのでしょうか?
決まったパターンがないので難しい所はありますが、本記事ではストレス障害であるPTSDの症状や基本的な接し方を検証していきます。
PTSDの子供への家族としての接し方
PTSDの原因となる震災や事件・事故との遭遇による精神的なダメージは、自我の発達が十分である大人の場合は備わっているので心理的にある程度対処できるのですが、子供の場合まだ未発達状態であるので怖かった体験を防衛できず精神に大きなダメージを与えます。
子供はショックな出来事を「ことば」ではなく「身体」や「行動」で表現することが多いのも注意点です。
また親の不安を子供は敏感に感じ取ってしまい症状が悪化する可能性もあります。
親が不安な状態が続くと親に負担をかけないようにと不安を抑え込むこともあるので、子供のPTSDに対処する前に親が不安な状態にならないようにしてください。
震災・いじめなどPTSDの原因
PTSDの原因となる強い精神的ストレスとは命の安全が脅かされるような危機、例えば交通事故や震災などの自然災害、その他にも火事、暴力や犯罪被害、虐待、戦争体験等が該当します。
これらを体験したすべての人が発症するわけではありません。
遺伝や性格、性別、育った環境など様々なことが関係してPTSDを発症します。
基本的にこれらは恐怖体験がどれだけ重いものなのかによって発症率は高まるものとなっております。
いじめなどもPTSD症状を引き起こしますが、いじめのような慢性的に続くものが心の傷となって心と体に影響をもたらす病気を「C-PTSD」といいます。
治療法について
では子供のPTSDの治療方法はどうしたらいいのか。
具体的な方法は子供たちに接する時間を増やし、話す内容に耳を傾けるようにして、感情を素直に出してもらえるよう促して受け止めるようにすること。
また、様々な遊びやスポーツクラブ等の活動を親がサポートしながらでも推進して、行動を起こすと発生する不安や我慢からくるストレスがどのようなものかを教えること等が、心のケアとして大切になるといわれております。
前述したとおり、震災などの影響である場合、保護者も負担がかかり不安になるケースが多いです。
そのため周りの人から少しでも協力をたくさん受けれるようにすると楽になります。
この中で一番難しいのがストレスがどのようなものかを教えることだと思いますが、時間をかけてもいいので少しずつ心をいやしていきながら負の感情からくるストレスに対してどのように向き合っていったらいいのかを教えていきましょう。
とにかく起こった出来事を心の中で整理できるように子供と向き合って語り合いましょう。
認知行動療法とは?
PTSDの治療法において今現在におけるもっとも実績のある治療法の一つがこの認知行動療法です。
大まかに説明してしまうと、トラウマを体験した行動を正面からとらえて認識させることで乗り越えさせるという治療法となります。
医師と向き合って話し合う様子から「暴露療法」ともいわれております。
トラウマと正面から向き合う治療法なのでかなりの覚悟が必要になり、人によっては実行できない方もいるでしょう。
あえてトラウマに向き合うという苦行を行いますが、安心した環境の中でトラウマと向き合うことで、慣れていくことが重要とされています。
ただし、これは医師の適切な指導の下で行われるものであって、素人感覚でトラウマを掘り起こすのはナンセンスであり、絶対にやってはいけない行為となってしまいます。
PTSDの症状
PTSD(Post Traumatic Stress Disorder)、別名心的外傷後ストレス障害とは衝撃的な体験や非常に強い精神的ストレスが、こころのダメージとして残り続け、著しい苦痛や生活機能障害を引き起こすストレス障害です。
その症状はふとした瞬間に原因となった出来事が思い出されて恐怖や怒りといった感情やその時に体験した苦痛を追体験するフラッシュバックがあります。
PTSDが起こった原因となるトラウマが思い出される行動を避けるようになり、会話や思考などを回避し、感情や感覚が麻痺する。
危機的状況を回避するために常に身構えるようになり交感神経系が亢進状態となり、イライラや睡眠障害が起きる過覚醒があります。
その他にも下痢や不整脈等が症状としてあらわれます。
診断基準について
PTSDの症状が持続して発生している時、具体的には1カ月以上継続しているとPTSDと診断されます。
年齢によって症状が変わってきますが、3~6歳では口数の減少、睡眠障害、フラッシュバック等がPTSDの症状としてでてきます。
3カ月未満であれば急性PTSDといわれ、3カ月以上は慢性PTSDといわれます。
またネット上にはPTSDの自己判断ができるテストがあるため、お子さんの症状と照らし合わせるか子供と受け答えをしながら診断テストを行うのも診断基準としてはありかと思います。
しかしあくまで参考にしかならない可能性のあるため、少しでもPTSD症状が見られた場合、医療機関にて正確な診断をしてもらうのがいいでしょう。
PTSDと複雑性PTSDの違い
複雑性PTSDとは「震災・いじめなどPTSDの原因」でも記載したように、いじめのような慢性的に続くものが心の傷となって心と体に影響をもたらす病気を「C-PTSD(複雑性PTSD)」といいます。
PTSDとC-PTSDは同じストレス障害ではありますが、C-PTSDのほうが一般的には症状が重くなるといわれております。
大きな違いはC-PTSDは数年後に発症することもあることと、対人関係構築やひきこもり等の人が多く見受けられ、PTSDより治療が困難な人が多いことです。
またPTSD患者よりも自己嫌悪に陥っている人も多く見受けられ、治療の始まりが自己嫌悪を治すことから始まることも多いです。
子供のPTSDにつきましては、次のサイトも参考にしてみて下さい。
エバラこどもクリニック 子供のPTSDについて
最後に
いかがだったでしょうか?
今回は「PTSDの子供への家族としての接し方および原因と治療法」と題しまして、心的外傷後ストレス障害(PTSD)とはどういうものか、症状はどうなのか、治し方はどうなのかを説明してまいりました。
事件や事故が海外と比べては少ない日本ですが、自然災害が非常に多い日本はPTSDになってしまう子供も多くいます。
大切なのは大人が不安を子供に伝えないこと、接する時間をできる限り長くとることです。
今回のこの記事がPTSDでお悩みの方およびその周辺の方のお役に立てれば幸いに思っております。
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