統合失調症の原因は母親や遺伝?脳内物質のドパミンが原因?
母親や遺伝など統合失調症の原因について
総合失調症は100人に1人は発症すると言われる非常に身近な病気です。
つまり学校の規模にもよりますが同じ学年に一人はいる可能性が高いと言えるでしょう。
この病気の原因は母親や遺伝が関わっていると言われていますが果たしてその通りなのでしょうか?
本記事では総合失調症の原因は本当に母親や遺伝が関係しているのか、脳内物質のドパミンが原因であるのかを中心にお伝えしたいと思います。
統合失調症とは?
統合失調症は、およそ100人に1人がかかると言われる非常に身近な病気です。
世間一般的には治らないというイメージが先行していますが、多くの方が回復していて治る見込みのある病気なのです。
この病気の症状は陽性症状と陰性症状とに別れていて、陽性は主に妄想や幻覚といった表立った症状で陰性は感情鈍麻(かんじょうどんま)や自閉といった目立たない症状になります。
まず陽性における幻覚症状は間違った考えに対して強い確信をもっていたり、矛盾点を指摘してもそれを受け入れられない状態になります。
次に幻覚についてですが実際には起こっていないことを現実で起こっていると感じてしまうことです。
それ以外には思考が混乱してしまう思考障害といった症状があります。
今度は陰性の症状を説明します。
まず感情鈍麻とは簡単に言うと喜怒哀楽の表現がほとんど無くなり他人への共感ができなくなってしまうことです。
次に、自閉というのは自分の世界に引きこもってしまうことを言います。
それ以外では思考力の欠如や意欲の欠如といった症状があります。
ご参考:厚生労働省「統合失調症」
統合失調症の原因は母親にあるのか?
このような精神の疾患であるため、家族や母親に原因があると思われる方もいますが、実はこれ、明らかになっておりません。
母親のせいというよりも、出生時の障害が原因という説があります。
実際に統合失調症の患者は脳が萎縮していることがあるようで、その原因が出生時の無酸素状態やお腹の中にいる時の栄養不足やウイルス感染などが関係しているとされています。
原因は遺伝にあるのか?
病気の原因の中で一番防げないのが遺伝です。
実際に病気の原因として遺伝と言われてしまうと、非常にやるせない気持ちが生じるでしょう。
ですが、この総合失調症の原因には遺伝もあると言われております。
あくまで原因の一つであるとされていますが、病気になりやすくなるだけであり、必ず病気になるものではないと思ってください。
親がその病気だからといって子供が100%発症するわけではありません。
確かに確率は高まりますが、あくまでなりやすさが遺伝していると捉えてください。
脳内物質のドパミンが原因に?
総合失調症の原因にドパミンに異常が起こることにあるという説があります。
このドパミンとは神経伝達物質の一つで神経細胞と神経細胞との間の隙間で情報伝達を行う物質となっています。
そこでドパミンによって伝えられるのは意欲や集中力になります。
先ほど総合失調症の陽性症状に幻覚や妄想があることをお伝えしましたが、これはドパミンが過剰になることが原因となっていて、過剰分泌状態になってしまうと幻覚や妄想といった症状が引き起こされてしまいます。
また、反対にドパミンが少なくなることで起こる陰性症状を抑えるためにはセロトニンを阻害する必要があるとされています。
セロトニンが原因に?
統合失調症の原因はセロトニンであるという理論があります。
総合失調症は脳のネットワーク機能がうまく働かなくなってしまったことに起因しております。
また、健常者とうつ病患者や総合失調症の患者の脳の状態をそれぞれスキャンして比べてみると、脳に傷があることがわかります。
これらの状態を改善するのにセロトニンが有効であり、セロトニンの不足がこれらの事象を引き起こしていると言われているのです。
先に触れていますが、気持ちを興奮させる作用がある神経伝達物質のドパミンが過剰に分泌されることで幻覚や妄想などの陽性症状が発生し、ドーパミンが機能低下すると意欲減退や感情鈍麻といった陰性症状が発生します。
陰性症状に苦しめられている人に対してセロトニンの働きを遮断する薬を投与した結果、症状が改善したことからセロトニン神経系とのバランスの崩れもこの総合失調症にか関わっていると考えられているのです。
逆にセロトニンの働きを高めることでドーパミンの働きを抑制し、幻聴などの症状が出なくなるという報告もありますし、総合失調症患者の脳の傷の修復も高まるという説もあるので、総合失調症には何らかの形でセロトニンが関わっていることが分かってきております。
ストレスが原因に?
万病のもととなるストレスですが、このストレスは統合失調症の発症にも関与しているようです。
もう少し詳しく説明すると、「ストレスに対する脳の脆弱性」が原因となっています。
このように書くと今一つちピンとこないかもしれませんが、簡単に書くとストレスに対しての防御力が低いと思っていただくといいと思います。
ストレスによる反応は人それぞれ、まちまちではあるようですが、ストレスによりドパミンが出やすくなる人もいるためストレスに対しての対抗力が低い人は総合失調症になる可能性もあります。
ここで大切なのはあくまで可能性というところであり、人によってはストレスを受けたところでドパミンが出にくい人もいるので、ストレスのみが原因であるとは言えません。
つまり、ストレスそのものが総合失調症の原因になるのではなくて「脳の脆弱性」がある人がストレスを受けた場合に発症する可能性が高まると理解してもらいたいです。
統合失調症を早期発見するには?
あらゆる病気は早期発見による治療が効果的であるため、この総合失調症も早期発見による治療は効果的となります。
まず、総合失調症における発症のピークは10歳代後半から20歳代で、さらに絞り込むと思春期から青年期が多いと言えるでしょう。
発症しやすい年代を把握することが早期発見への努力その1といえます。
また、サインを見逃さないことでしょう。
特に幻覚や妄想の症状はわかりやすいので「監視や盗聴を受けている」や「独り言が異常に増えた」などといったサインは見逃さないようにしましょう。
しかし、このようなサインが出たとしても病院を嫌がるケースが非常に多いので、「治療すれば楽になる」「みんなが心配している」と脅しにならない説得を行うようにしてください。
本人の意思を尊重しすぎて症状が進行してしまうのは深刻な事態をまねく恐れがあるので、しっかりと症状に気が付いたら説得を行いましょう。
統合失調症になりやすい性格の特徴は?
総合失調症は精神的な病であるため、性格も発症する確率に影響します。
前述として、ストレスを受けやすい体質の人は総合失調症になる可能性が高まると記載しました。
つまり、ストレスを溜めやすい性格の人はなりやすい性格と言えるでしょう。
例えば、神経質・繊細・マイナス思考の人がそれに該当すると思います。
それ以外にも基本的に受け身である人や内向的、非社交的な人、そしてノーとは言えない人もそう該当する確率が高いと考えられます。
これを発症しやすい子供時代に例えて考えると、「手のかからない子供」「聞き分けのいい子」「いいえとは言わない子」というものになると思います。
また、総合失調症の人は子供時代にいじめを受けたことがある人が多く、攻撃されても反撃をしない性格は統合失調症になりやすいと言えるでしょう。
統合失調症につきましては次のページも参考にして下さい。
統合失調症の症状【初期・慢性期など】と周りの付き合い方
統合失調症の方への対応【家族・友達・高齢者・近所・職場】
統合失調症の原因につきましては、次のサイトも参考にしてみて下さい。
統合失調症ナビ 発症の誘因となる危険因子
最後に
いかがでしたでしょうか?
今回は総合失調症の原因が何であるかを調べてお伝えしてまいりました。
心の病であるこの病気は、怪我や病気と違って、なかなか分からないことが多くあると思います。
そのためにも大切なことはこの総合失調症の症状を理解して、症状が出てきたらすぐに病院を受診することにあります。
全ての病気は早期発見なら改善も早く、比較的容易になるのです。
その為にも、もしお子さんがこの症状が見られた場合、たとえ病院に行くことを嫌がったとしても説得して連れていってあげてください。
連れていかないことで苦しむのは間違いなくその子供になってしまいます。
今回のこの記事が総合失調症に対しての参考となれば幸いに思います。
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