情緒不安定性人格障害の症状や特徴は?接し方や治療法は?
情緒不安定性人格障害の症状と対応・治療法
情緒不安定人格障害はつらい症状で、自分がその障害ではないかと気になっている方は症状や特徴を知ろうとするでしょうし、人によっては間違いないと感じ、治療法を探している方もいます。
そして本人だけでなく、周りの人も大変に感じることも十分に考えられ、接し方に気を配る必要があるでしょう。
本記事では情緒不安定性人格障害の症状や特徴の他、治療法や患者との接し方を中心にお伝えしたいと思います。
情緒不安定性人格障害の症状と特徴
情緒不安定性人格障害は名前で何となく症状が推測されているでしょうが、感情が不安定で衝動で行動することが多く人によってはいきなり強い怒りが湧いてきて暴れだす人もいるでしょう。
基本的にあらかじめ計画を立てる能力がかなり低下するようになるので、あらゆる分野において計画性をもっての行動ができなくなります。
また、これは「衝動型」と「境界型」の2種類があります。
衝動型の人は他人に批判されることで突発的な行動をとることが多くなり、脅し行為や暴力行為を振るうようになります。
境界型の場合は常に空虚感を感じるようになって見捨てられることに脅威を感じて異常なまでの努力を行ったりしますが、自殺といった行動にはしることも見受けられます。
情緒不安定性人格障害の方への接し方
情緒不安定性人格障害において大変なのは本人もですが、突飛な行動を行うことが多いので同居人や親友も対応に困ることがあるでしょう。
対応方法にはいくつかありましたが一番大切なことは一貫性を持つことと、必要なら距離を取って接することだそうです。
一貫性というのは話を聞かないようになりなさいと言うようなことではなく、守れないような約束はしないで自分の気持ちを正直に言うことにあります。
距離を取るのは相手が怒りなどの感情を向けてきた時で、言い返したくなる気持ちは分かりますが、堪えて何時間か間を置くようにするということです。
注意点はそこで物別れしないようにすることです。
治療法について
情緒不安定性人格障害の治療はすぐに治るものではないので、長期間努力し続けられるかがカギになります。
支持的精神療法や認知行動療法、精神分析的精神療法といった精神療法が主体となるのですが、場合によっては睡眠薬や精神安定剤、抗うつ剤などを処方されることもあるでしょう。
とにかくカウンセリングを行ってどういう状況で暴走するのか、暴走したらどうやって止めたらいいのかを探る必要もあるので、定期的に病院に通うことになります。
ただし、自殺行動にうつる可能性があった場合は衝動行為への危険性の排除が最優先になるので入院する可能性もあるようです。
原因について
この人格障害が発生する原因として多いのは親子関係にあると言われております。
特に人格形成において多大な影響を及ぼすことになる幼少期の頃の家庭環境の影響が大きいと言われているのです。
よくある話としては親が暴力的でひどい仕打ちを受けて愛情を全くかけて育てられなかったというパターンですが、それ以外にも極端に甘やかしすぎた結果発症することもあると言われております。
暴力や構いすぎ以外にも、ほったらかしていることで発生することもあるようです。
子供は成長するにつれてやがては独立をして離れていくものですが、その離れるにあたって大切なものは、見守られているとか頼れる人がいるといった安心感で、この安心感が全くないと発生する確率が高くなるそうです。
一説には、2歳ごろになると子供は自意識が芽生えるようになって自立を覚え始めるようですが、この時に愛情を注いでくれる人がいないと情緒不安定になる確率が上昇するとも言われています。
診断基準について
この情緒不安定性人格障害の診断基準はDSM(精神障害の診断と統計の手引き、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)によるものがあり、下記9項目のうち5つ以上満たしていたら適合するということです。
1.現実に、または想像の中で見捨てられることを避けようとする気も狂わんばかりの努力(注:5.の自殺行為または自傷行為は含めないこと )。
2.理想化と脱価値化との両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる不安定で激しい対人関係様式。
3.同一性障害:著名で持続的な不安定な自己像や自己観。
4.自己を傷つける可能性のある衝動性で、少なくとも2つの領域にわたるもの (例:浪費、性行為、物質濫用、無謀な運転、むちゃ食い)。
5.自殺の行為、そぶり、脅し、または自傷行為のくり返し。
6.顕著な気分反応性による感情不安定性 (例:通常は2~3時間持続し、2~3日以上持続することはまれな強い気分変調、いらいら、または不安)。
7.慢性的な空虚感。
8.適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難 (例:しばしばかんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合いのけんかをくり返す)。
9.一過性のストレス関連性の妄想様観念、または重篤な解離性症状がある。
これ以外にもWHOによる国際疾病分類であるICD-10においても診断基準が定義されております。
・あらかじめ計画をたてる能力にきわめて乏しく、強い怒りが突発し、しばしば暴力あるいは「行動爆発」にいたることがある
・これらは衝動行為が他人に避難されたり、じゃまされたりすると容易に促進される
・パーソナリティ障害の2つの異なる型が特定されるが、両者ともこの衝動性と自己統制の欠如という一般的なテーマを共有している
衝動型の診断基準は下記の通りです。
・情緒の不安定と衝動統制の欠如が激しくめだつ。
・暴力あるいは脅し行為が、とくに他人に批判された場合、突発するのが常である。
・爆発的および攻撃的パーソナリティ障害と合併、混同していることがある。
・非社会性パーソナリティ障害は省く。
(非社会性パーソナリティ障害:社会的責務を無視、他人への異常なまでの冷淡さと攻撃性を特徴とする)
境界型の場合の診断基準は下記になります。
・情緒不安定ないくつかの特徴が存在し、それに加え、患者自身の自己像、目的、および内的な選択(性的なものも含む)がしばしば不明瞭であったり混乱したりしている。
・通常絶えず空虚感がある。
・激しく不安定な対人関係に入りこんでいく傾向があり、追い詰められたような感情に陥りやすく、見捨てられることを避けるための過度な努力と、自殺の脅しや自傷行為を行うことがある(しかしこれらは何の引き金がなくても、突発的に起こりうる)。
病院の受診は何科?
基本的に情緒不安定性人格障害になってしまった場合は薬以外にカウンセリングも必須となるので精神科に行くことになるでしょう。
ただしカウンセリングによる治療は先生との相性が大きく影響することになるので、感覚的にこの人と相性が良くないと感じた場合は、自分に合った先生を見つけるようにした方がいいでしょう。
あとはカウンセリングを積極的に行っているかどうかを病院に行く前にチェックするのもいいと思います。
定期的なカウンセリングが必須なので良い先生を見つけてください。
情緒不安定人格障害と境界性人格障害の違い
情緒不安定性人格障害を境界性人格障害は同じだという見解を持っている人もいますが、共通点がかなり多いのでその説もあながち間違いではないでしょう。
しかし、違うところをあげると情緒不安定のほうは名前の通り情緒に問題が発生するようになるので感情の爆発といったものが主体になりますが、境界性の場合は人に見捨てられたくないといった不安に駆られての行動の方が多いと言われております。
ただし、基本が同じなので治療法も同じとなっているようです。
情緒不安定のことに関しましては次のページも参考にしてください。
最後に
以上、いかがだったでしょうか?
本記事では情緒不安定性人格障害の症状や特徴及び患者との接し方についてお伝えいたしました。
この情緒不安定性人格障害は周りの人のサポートが必要なものなので、どのような障害なのかを理解して接し方も把握する必要があります。
治療も長い期間がかかると言われており、悪戦苦闘することもあるでしょうが決してあきらめずに医師と二人三脚で治療を続けていくようにしてください。
決して治らない病気ではないのであきらめないで!
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