猫の腎不全・尿毒症の症状や原因【治療や食事・予防法は?】
猫の腎不全の原因や食事など治療法について
腎不全は今では現代病の一種として人間社会における危険な状態の一つとなっておりますが、それは猫にも言えることとなっており、原因追及や食事などの治療法や予防法が注目されております。
本記事では猫における症状を含めた腎不全の全般についてお伝えしていきます。
猫の腎不全の症状は?
血液中の老廃物などをろ過するのが腎臓ですが、その腎臓の機能が正常に働かなくなってしまって、老廃物を排出する機能が弱まっていくのが腎不全です。
これは人間でも犬でも起こりうる症状で、発症するまで気が付かないことが多いものとなっております。
ただし、この腎不全というのは腎臓の機能が低下する総称なので、病名というわけではありません。
何らかの病気や現象から腎臓の機能が低下すると腎不全と呼ばれるようになります。
腎臓病などで腎不全になると食欲不振・便秘・下痢・嘔吐・体重減少・食欲不振・頻尿・多飲などの症状が出るようになります。
段階別に症状を分けると、最初のうちは薄い尿が大量に出るようになって喉が渇くことが多くなります。
次によだれが出るようになって嘔吐が増え食欲が低下し、痩せていくのです。
採取段階になると尿毒症になるので全く動けなくなってぐったりするようになるでしょう。
原因について
猫の腎不全の原因は腎臓の組織に障害や機能不全が発生することや、加齢や腫瘍及び外傷や腎炎などが原因と言われておりました。
それ以外の原因もあったのですが、原因不明として判明しておらず医学の発展が待たれる状況だったのです。
しかし、2016年10月に東大の研究チームが猫に腎不全が多い原因を明らかにしました。
彼らの発表によれば、腎臓内の目詰まりを防ぐ血中のたんぱく質AIMの機能不全が猫の腎不全の原因だったのです。
このことから、たんぱく質AIMの機能不全を防ぐ治療法の発展が期待されるようになりました。
あらかじめ保有している糖尿病や水腎症といった病気から引き起こされたり、遺伝によって発症しやすいという猫もいるので他の病気がある猫も要注意となるでしょう。
治療方法について
急性の場合は何らかの外傷や病気によって引き起こされているものなので、その原因を取り除き、腎臓に負担のかけない生活をすることで回復する可能性はありますが、死因原因一位となっている猫の腎不全は基本的には慢性の腎不全であり、回復するものではありません。
そのため、初期や中期の腎不全の場合は吐き気や過剰な尿毒素の産生を抑えるための胃液の分泌を抑える薬や蛋白同化ホルモンの定期的注射を行うことになるでしょう。
それ以外にも食事におけるリンやナトリウムの摂取量制限も行われます。
初期でも高齢動物用のペットフードに食事を変更するというやり方が推奨されるようになります。
末期の腎不全の場合は点滴で循環血液の量を増やして尿毒症と脱水の改善を行うようになるのですが、点滴でも改善しないことがありその場合は血液透析や腎移植などの延命処置が行われるようになります。
しかし、保険がきかないので1回の治療に3万円程度かかるのが月に4回程度続くのはかなりの負担となり諦めてしまう人も多いのです。
腎移植する場合もある?
前項で腎不全の治療について触れましたが、このような一般的な治療がほとんど効果が無い状態になっている場合は、すでに重症状態なので腎臓の移植手術が行われることもあります。
猫の腎臓移植手術は実はアメリカで1980年代後半から実行されておりけっこう歴史があります。
しかし、日本ではなじみがないので実行している病院は非常に少ないです。
なので、腎臓移植をすることもありますが、日本ではほとんど実行されないと考えた方が良いかもしれません。
国内にはドナーとなる猫たちが少なく、実験用に飼育されている猫がドナー対象となりますので、少なくなってしまうのは仕方が無いようです。
薬の効果について
腎不全は腎臓の細胞が破壊されることで症状が進行する慢性のものだった場合、どのような治療を施したとしても腎臓の機能は回復しません。
なぜなら破壊された細胞がよみがえることは無いからです。
そのため、腎臓の負担を少なくするために薬を使ったり食事療法をするのが基本となっております。
しかし、現代では様々な研究報告が発表されたり、猫の腎不全に対する新薬が発表されるなど画期的な動きが出てきているので、新たな薬の開発も期待できる状態になっているのです。
最近出た薬では東レさんが製造販売している「ラプロス」でしょう。
このラプロスはベラプロストナトリウムを有効成分とする経口プロスタサイクリン製剤で、効果は腎機能低下に関係していると言われている間質の線維化を抑制する力があり、腎機能の低下を止めることができると言われております。
しかし、あくまで腎臓を回復させるのではなく症状を止める薬ということをご認識頂けたらと思います。
効果的な食事療法について
まず推奨されるのがリンとナトリウムが少ない食事なので、塩分が多い食べ物は避けることとなるでしょう。
塩分が少ない高齢用のペットフードが推奨されるのはこのためです。
それ以外には食物繊維を増やすことでアンモニアを増やさないようにするとか、十分なカロリーで筋肉の分解を防いで脂肪酸で腎臓の炎症を抑えるために脂肪を敢えて増やすというやり方もあるようです。
リンとナトリウムを減らして食物繊維や脂肪を増やすことで、余命が宣告されても確実に伸びると言われておりますので、食事療法は有効なやり方となるのです。
ただし、猫側が食事療法が有効とは理解できずに餌を変えることで拒否感が出てしまうこともあるので、受け入れやすくするためにゆっくり実行するようにされた方が良いでしょう。
腎不全の末期症状【尿毒症】や余命は?
腎不全が既に末期まで進行している場合は余命が宣告されることもあるでしょうが、末期まで進行していないのなら余命の話をすることはほとんどないと言われております。
末期の場合は数ヶ月と言われることがあるようですが、しっかりと食事療法が行えている方は1年以上生きる猫もいるのであくまで目安といったところなのです。
猫の種類や症状の進行度合いで余命もかなりぶれてきますので、当たらないことのほうが多いとすら言われております。
予防方法について
猫の腎不全は率直に申し上げて人間よりも見つけることが困難なものです。
症状が出てからでは遅いとすら言われているのですが、腎臓は本来の機能が失われていてもなかなか異常が出ず、一説には75%を切り取っても生活することができるので、かなり症状が進行しないと発覚することは無いとすら言われております。
そのため、腎臓の負担が少ない食事を与えることを意識して、タンパク質やビタミンDを含んだエサを与えて塩分は控えめにすることが大切となります。
高齢となった猫が発症しやすいので、7歳以上の猫は年に一回は検査を受けることで軽いうちに症状を抑えることができるようになるでしょう。
犬の腎不全につきましては次のページを参考にしてください。
腎不全になった猫の安楽死について
あまりにも症状が進行してしまった腎不全の場合は安楽死という選択も出てきます。
安楽死は病気で苦しんでいるペットの苦痛から解放してあげる最後の手段ではありますが、動物の意思表示を汲み取ることはできないので飼い主の判断にゆだねられるものなのです。
そのため、賛否両論はあると思いますが、意識混濁や痙攣による失禁を起こしているような状態ならやむを得ないのかもしれません。
安楽死に関しては正解はありませんので、医師とよく相談して決めるようにされるといいでしょう。
猫の腎不全につきましては、次のサイトも参考にしてみて下さい。
だて動物病院 猫の腎不全 ~猫の宿命編~
最後に
以上、いかがだったでしょうか?
本記事では猫の腎不全についてお伝えしてまいりました。
猫の腎不全は死因としても常に上位にきているものなので、一番警戒する必要のある症状ともいえるでしょう。
発症してもなかなか気が付かない厄介な症状なので、まずは発症させないようにするためにも、日頃から塩分控えめの食事を意識するようにしましょう。
LEAVE A REPLY