熱中症の治療のガイドラインや病院での治し方!治る期間や後遺症は?
熱中症の治療のガイドライン及び改善期間と後遺症
暑い環境下において体調に異変を感じた場合、熱中症を疑う必要があります。
熱中症は毎年暑い季節になると必ず話題になるほどの体の障害ですので、予め熱中症対策を頭に入れておき、すぐに対処できるようにしておくと良いです。
本記事ではそのような場合にどのような対応を行ったら良いかのガイドラインや、病院にかかった場合の治療内容、期間、治療後の後遺症などについて触れたいと思います。
熱中症の治療のガイドラインは?
毎年暑い時期になると話題になる熱中症。
近年は猛暑日が多く、平成25年の6~9月に熱中症関連の診断を受けた人が40万人を超え、また熱中症で命を落とすケースもあることから、対策に意識を向けることが非常に大切な時代になっています。
そのような中、日本救急医学会では「熱中症診療ガイドライン2015」をまとめています。
このガイドラインでは熱中症の診断基準や対処法をはじめ、熱中症の全般的なことが書かれており、迅速に対処する上で役立つ内容となっています。
最も参考になるのは症状と重症度についてかと思います。
自分で対処すれば大丈夫なのか、病院を受診した方が良いのかの目安になります。
その概要は次のようになっています。
暑い環境下で、体調に異変を感じた場合は十分熱中症の可能性があるので、対処した方が良いです。
①重症度1
【症状】めまい、立ちくらみ、生あくび、大量の汗、筋肉痛、こむら返り
【対処】涼しい場所で安静にしておく、体の表面を冷す、水分とナトリウムを補給する
重症度1では病院を受診せず、現場での対応で大丈夫となっています。
②重症度2
【症状】頭痛、嘔吐、倦怠感、虚脱感、集中力や判断力の低下
【対処】医療機関の受診が必要で体を冷やし安静にし、十分な水分とナトリウムの補給を行う
③重症度3
【症状】意識障害、けいれん発作
【対処】体や血管内まで冷やす。呼吸・循環管理も含めた医療機関による処置となります。
「熱中症診療ガイドライン2015」は次のURLでご覧いただけます。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/heatstroke2015.pdf
熱中症の病院での治し方
熱中症は体温調節が上手く行かず、体温が上がった状態になっていますので、まずは体温を下げる処置が行なわれます。
①体表の冷却療法
氷枕などを早く体を冷やすのに効果のある、首の後ろ、脇の下、鼠径部【そけいぶ:脚の付け根】などにあてて体を冷やしたり、全身を水で濡らし、扇風機で送風したりする方法などが取られます。
早急に体温を40度以下にすることが重要です。
②体内の冷却療法
①で体温が下がらないなど、重症患者さんにはカテーテルを血管内に用いて冷やした生理食塩水を流して冷す方法が検討される場合があります。
③水分や塩分の補給
脱水症状で水分や塩分が不足している場合は、輸液(水分や電解質などを点滴により体内に投与する治療法)が行われたりします。
治るまでの期間は?
熱中症にかかった人の重症度や体力によってかなり違ってきます。
軽症の場合は1日で回復し、翌日安静にしていればOKというケースもあります。
中度の場合で1~3日入院して治療する場合もありますし、重症化していて回復が思わしくない場合は数週間かかる場合もあるようです。
頭痛、発熱、嘔吐といった症状がなくなっても、熱中症の後は自律神経の働きが乱れ、体調を崩しやすい場合が多いので、症状がなくなってもしばらくは無理をせずに少しずつ体を慣らしていく意識で過ごすと良いでしょう。
熱中症による後遺症は?
熱中症にかかった場合、後遺症が残る場合があります。
意識障害などの重症を負ったケースでは脳障害や腎障害が残る可能性もあるようです。
その他、先にも記載していますが、軽症でも自律神経の働きが乱れることで、2週間~1ヶ月くらい後遺症として頭痛、耳鳴り、食欲不振、体のだるさ、筋肉痛、関節痛などの症状が出やすかったりします。
後遺症は熱中症を発症してからの対処の早さにも関わってくるようですので、熱中症が疑われるような症状を感じた場合は迅速に対処することが肝要かと思います。
またこのような後遺症のことを考えると、熱中症を安易に考えずに熱中症が起こりうる時期(5月~10月初旬)は十分な対策をとる必要があるかと思います。
熱中症の対策については次のページをご参照ください。
熱中症での薬服用の考え方について
画像出典:http://health.goo.ne.jp/medicine/A0101070801
熱中症の症状の1つである頭痛が起きた場合、頭痛薬の「ロキソニン」を飲む人もいるかもしれません。
熱中症による頭痛は脱水症状により血液の濃度が高くなり、頭に栄養や酸素が行き渡らなくなることで起こります。
つまり頭痛を改善させるには脱水状態を回復してあげなければなりません。
従いまして頭痛薬を飲んでも、頭痛が治まらないケースがほとんどでしょう。
仮りに頭痛に効いたとした場合、そのことで肝心要の熱中症の対処を怠ってしまうと、熱中症そのものが悪化し、思わぬ重症化に繋がりかねません。
従いまして、熱中症が疑われる頭痛の場合、安易に薬を服用せずに病院を受診し、適切な対処を行うことが大切です。
病院での薬について
多くの人を苦しめる熱中症ですが、基本的に熱中症は細菌やウイルスによって引き起こされているわけではないので、どのような症状によるかで使う薬も変わってきます。
例えば、高熱が出ているような人だった場合は解熱剤を使うでしょうし、頭痛が酷いという方はカロナールといった頭痛薬を用いる時もあるでしょう。
このように対症療法に近いものがありますので、薬よりも先に挙げたどのようにして体を冷やすのか、水分を補給するのかを考え、対処することが優先になります。
「とにかくまずは薬」という考え方ではないということです。
入院するのはどんな時?
重症度3の場合は集中治療室での治療が必要になります。
重症度1の場合は病院を受診しても入院することはほとんどありません。
重症度2の場合は輸液などで改善に向かいますが、脱水状態が元の正常な状態に戻るのに時間がかるため、入院するのが一般的です。
かかる費用は?
軽症で救急搬送されることなく病院に行き、点滴などの治療を受け日帰りした場合は保険診療で3,000円前後くらいが目安のようですが、救急搬送され熱中症で入院した場合、かなり高額になるようです。
初診料、処置費、入院費などがかかり一泊二日で入院した場合で、80,000円くらいかかった例があるようです。
熱中症の疑いのある場合の対応手順
自分や周りの人において、熱中症が疑われる場合(明らかに熱中症という場合や暑い環境下で体調に異変を感じた場合)は早急に対応をとる必要があります。
どのような対応をとるかの手順は次のようになります。
①熱中症と思われる症状があるか? 【YES】なら②へ
②意識はあるか? 【NO】なら救急車を呼ぶ 【YES】なら③へ
③涼しい場所に移動し体を冷やす ④へ
④水分を自分で摂れるか? 【NO】なら病院へ 【YES】なら⑤へ
⑤水分・塩分を摂る ⑥へ
⑥症状が回復したか? 【NO】なら病院へ 【YES】なら⑦へ
⑦しばらくはそのまま安静にして十分に休息をとり完全に回復したと感じたら少しずつ体を動かし、様子を見ながら通常の活動に戻していく。
熱中症の治療におきまして、次のサイトも参考にしてみて下さい。
最後に
熱中症の対処においては日本救急医学会で「熱中症診療ガイドライン2015」をまとめており、この内容を参考にすると良いでしょう。
症状によって重症度1~3まであり、それぞれの重症度に沿った対応を行うことが肝要です。
病院での治療としては体温を下げることと、水分と塩分の補給が行なわれます。
重症度によって日帰りで済む場合があれば、1日~数週間の間、入院する場合もあります。
熱中症時における薬に関しては、根本的な改善でない為、好ましくありません。
熱中症にかかると2週間~1ヶ月の間は頭痛を始めとした症状が出やすかったりしますし、熱中症が重症だった場合に重い後遺症が残る場合もありますので、やはり熱中症にならないように暑い季節は十分対策を取るなど用心した方が良いでしょう。
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