広汎性発達障害の症状や原因・診断・治療法!遺伝する?
広汎性発達障害の大人や子供の特徴と仕事や接し方
広汎性発達障害の患者数は増加していると言われており、症状や原因、診断方法や治療するすべなどを気にしている人が増加傾向にあります。
原因として遺伝があるのかも気になるところでしょう。
本記事ではこの広汎性発達障害について紹介したいと思います。
広汎性発達障害とは?症状の特徴は?
広汎性発達障害とは発達障害の分類の一つであり、アスペルガー症候群や自閉症などを含むもので、現代社会において多い障害の一つとなっております。
英語名称は「Pervasive Developmental Disorders」となっており、表記では略称としてPDDと呼ぶこともあるでしょう。
その特徴はコミュニケーションを特に苦手とするというものであり、対人的な関係が苦手で相手との距離感がわからず場の雰囲気を察することができないとか、うまく会話をつなげることができないとか、行動や興味、そして活動内容が限定的で反復することがあるというものになります。
これらの症状は子供のころから出てくる症状なので、集団行動が必要になる年齢になると顕著に目立つようになるでしょう。
何らかの感覚過敏が高確率で引き起るので、雑踏が異常に苦手だったり、かなり偏食になったり、皮膚接触を嫌うようになるなど、独特な症状も出てきます。
原因について【遺伝する】
病気によって発症しやすい家系というものがありがちで、家族の中で発症した人がいるのならその病気が発症する確率が高いというものはよくあります。
しかし、この広汎性発達障害が遺伝するかどうかについてははっきりしておりません。
発達障害の原因特定もいまだできておらず、その原因の中に遺伝説は確かに存在しているのですが、その研究による成果も数字がまちまちで安定しておらず明確には分かっていないようです。
要するに、家族に発症者がいるからその人は発症確率が高いとか、親がなってしまったのなら100%遺伝するというものではないということになります。
おそらくこれから研究が進めば、この部分も明らかになると思いますが…
診断基準は?
この発達障害における診断基準はアメリカ精神医学会「精神疾患の診断・統計マニュアル第5版」に沿った形になるか、世界保健機関(WHO)の「ICD-10」に沿った形となります。
日本だけではなく世界で多く見られる障害なので、世界規模での研究が進んでいるのです。
内容はかなり専門的になっているのでいくらかかみ砕いたものとなると、先ほど解説したようにコミュニケーション能力に欠けているとかこだわりが強すぎるといった症状が出ていないのかのヒヤリングをすることになります。
血液検査や脳波などを確認することよりも、人とのかかわり方や興味の対象がどのようなものなのかを問診によって確認することになるでしょう。
治療方法について【薬が効果的?】
広汎性発達障害の原因は遺伝子異常や染色体異常と言われておりますが、原因特定ができていないため具体的な治療方法は存在していないようです。
療育というリハビリを行うのが一般的となっているようですが、いわゆるコミュニケーション能力の欠如を補うために療育を行うというスタイルのようです。
ただし、これ以外にも治療法は存在しており脳神経を活性化する栄養素のミネラルやビタミンを補給させれば治るという考えでこれらの栄養剤を処方されることもあります。
他には鍼灸治療を行って回復を促すという考え方も存在しており、中国伝統医学に頼るという方法もあるという状態です。
基本的に生活することが困難な状態になってしまいますので、生きやすい環境を作っていくためにも教育と療育によるアプローチは必須となるようです。
完治する?
広汎性発達障害を完治させる方法は未だに見つかっておりません。
根本的に治す治療薬や手術による治療法は医学的に解明されていないのです。
しかし、この障害で苦しんでいる人たちが生きやすい環境を作っていくことは可能です。
そのためには、周りの人たちがこの障害について理解を示し、本人が行動しやすい状況を整えてあげる必要があります。
自閉症スペクトラムとの違いは?
いろんな病気の名前があるとそこまで医学の知識がない方からすると、訳が分からなくなってしまいますが、それはこの広汎性発達障害と自閉症スペクトラムにも表れており、どのような差があるのかよくわからないという人も多いと思います。
結論から言うと広汎性発達障害は一世代前の呼び方であり自閉症スペクトラムは最新の診断名となっているので、呼び方が違うだけと考えていただければいいでしょう。
1990年代に公表されたICD-10とDSM-4という判断基準では広汎性発達障害のグループの中にアスペルガー症候群なども含まれるという考え方でしたが、2013年に公表されたDSM-5では細かい分類がなくなっており、全てが自閉症スペクトラムに該当すると考えられるようになったのです。
広汎性発達障害の方に向いている仕事は?
広汎性発達障害の人達はこだわりが強く好みの行動なら何度でも繰り返し行うことができるのですが、人とのコミュニケーションが取りづらい傾向にあるので、人付き合いが多い仕事はきついことになるでしょう。
つまり、工場作業での組み立てや梱包作業を黙々と繰り返すとか、得意分野に特化した研究を始めるとか、人との触れ合いが最小限で繰り返し作業が行える仕事が良いでしょう。
逆に、人との接触が多い仕事は避けた方がいいです。
具体的には接客業や電話応対が多い仕事、営業職には向いていないでしょう。
広汎性発達障害の方との接し方
広汎性発達障害の人は感情の共有やその場の雰囲気をつかむことが苦手の傾向があり、人と接すると高い確率でトラブルとなってしまいます。
普通の人たちなら隠すようなこともストレートに言ってしまうので、喧嘩になってしまうのです。
そのため、親ならその発言を受けて具体的に何を言ってはいけないかを教えてあげて、相手の気持ちを推測できるようにしてあげるしかないでしょう。
また、感覚過敏の人も多いので、いきなり声をかけるとかいきなり体に触れるのも避けた方が無難です。
いきなりパニックになることもありますので、見通しが立つように予定を明確にして提示するようにしてください。
あいまいな表現は可能な限り避けましょう。
「できる限り早く」ではなく「〇〇時までお願い」と明確化してください。
広汎性発達障害は障害年金受給の対象になる?
発達障害は20歳を超えた時点で発覚する人も多いので20歳後に初診日となっている人であっても障害厚生年金の請求が認められているようです。
発達障害の障害等級判定は知的能力に問題がなかったとしても対人関係に問題が多く発生して日常生活にも制限がかかるレベルにまでなっているのなら、就労制限があるということを認められて障害年金受給の対象になることもあるようです。
こちらは具体的に等級が分られていますので、参考にしてください。
1級:発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの
2級:発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの
3級:発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの
(発達障害の認定基準より)
発達障害に関しましては次のページも参考にしてください。
広汎性発達障害につきましては、次のサイトも参考にしてみて下さい。
LITALOCO 広汎性発達障害とは?自閉症スペクトラムとの違い、原因と症状、診断、受けられる支援を紹介します。
最後に
以上、いかがだったでしょうか?
本記事では広汎性発達障害について紹介してまいりました。
今では多くの方々に発症している世界的な病気ではあるのですが、世界レベルで研究が進んでいるのに原因特定ができていない非常に厄介な障害となっております。
日本でも年金を受け取れるようになっておりますので、発症したとしてもあきらめないでください。
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