緑内障の治療法【目薬・レーザー・手術など】と副作用は?
目薬、手術など緑内障の治療について
緑内障は失明する原因として常に上位にあり続ける厄介なもので、治療方法について気にしている人も多いものとなっています。
そのため目薬・レーザー・手術といった具体的な治す方法や、副作用の有無を知りたいと思っている人もいるでしょう。
本記事では緑内障の治療方法について、そして副作用はあるのかなどをお伝えします。
緑内障の治療法
目薬について
緑内障は基本的に眼圧が上昇したことにより目に様々な障害を発生させるものであるため、何よりも大切なことが眼圧を正常値に戻すことになります。
基本的な緑内障の治療において使われる方法は点眼薬を中心とする薬物治療になるでしょう。
ここで眼圧が低下するようであれば、この治療を続けていくというのがよくあるやり方のようです。
緑内障は治すことはできず、あくまで進行を止めることが目的なので進行が止まった場合はその治療を継続することになるのです。
この点眼薬治療で効果が薄い場合は、点眼薬を変更したり追加したりして効果があるのかを試すことになります。
ここで効果があればその治療を続けることになりますし、効果が無ければ別の治療に踏み切ることになるでしょう。
そして点眼薬でうまくいかなかった場合や視野障害といったトラブルが発症してしまった場合はレーザー治療を行うようになると思われます。
レーザー治療について
緑内障におけるレーザー治療は目薬を色々と試したけれども眼圧が下がらない方や副作用が出るため目薬が使えない人、そしてすでに症状がかなり進行している場合に行われることになるでしょう。
ただし、このレーザー治療にも選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)やレーザー虹彩切開術(LI)などの種類があるので、症状や原因に合わせて手術内容や方法も異なります。
まず選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)とは開放隅角緑内障に対して行う治療と言われていて、隅角にレーザーを照射することで、房水の出口の細胞を刺激して房水の排出を促すことを目的としたレーザー療法です。
かなり簡単な方法であるため周囲へのダメージも少なく治療時間もかなり短く5~10分くらいで終わるでしょう。
しかし、これは線維柱帯の一部の細胞を選択的に破壊するという治療法なので、ぶどう膜炎などによる続発解放隅角緑内障や血管新生緑内障や、閉塞隅角緑内障には効きにくいと言われています。
次にレーザー虹彩切開術(LI)は狭隅角や閉塞隅角緑内障の方に対し、急性緑内障発作予防目的で行う治療と言われており、虹彩にレーザーで穴を開けて房水の流路を確保することが目的となっています。
こちらも治療時間は短く5~10分程度で終わるようです。
手術について
緑内障における手術は他の病気と同じく最終手段となります。
いわゆる目薬も効果が出ず、レーザー治療もそこまで効果が期待できない場合に行われるのが手術になるのです。
具体的に行われる手術は線維柱帯切除術と線維柱帯切開術の二つです。
両方ともだいたい60~90分はかかると考えてください。
まず、線維柱帯切除術は眼内の水を結膜の下に作成したプールにしみ出させるために眼内と結膜(白目)下の間にバイパスを作成する手術です。
使う結膜は上まぶたに隠れる上方の結膜のようです。
手術が終わってすぐ退院というわけにはいかず、眼圧が安定するまでは眼球マッサージといったものが必要となりさまざまなメンテナンスを行うようになるでしょう。
感染症対策も必須と言われています。
次に線維柱帯切開術の場合は眼内の排水の効率を良くするために眼内の排水管の組織を切開する手術です。
名前の通りですね。
特定の緑内障や若年者には有効な手術と言われていますが、基本的にこちらの方がリスクは少ないですが、線維柱帯切除術より効果は低いとされています。
副作用について
緑内障における治療薬の目薬の副作用について説明します。
まず全ての目薬の8割に添加されている防腐剤ベンザルコニウムは抗菌効果が高いので好まれて使われていますが、長期にわたってずっと使い続けると角膜障害が発生することがあるようです。
緑内障の治療は基本的に症状を食い止めているだけなので長い期間目薬をする必要があり、将来的に角膜障害が発生することがあると言われています。
それ以外にもPG(プロスタグランジン)系統の目薬であるルミガン・トラバタンズ・タプロスなどの眼薬は副作用として目が充血すると思われます。
ただし、使い続けるとこの充血は薄れると言われています。
また、まぶたの色素着色といったものもあります。
最新治療法について
緑内障における治療は基本的に「薬物治療」「レーザー治療」「手術治療」に分けられていることはわかっていただけたと思いますが、手術治療の主流は日本では線維柱帯切除術と線維柱帯切開術の二つということでしたね。
しかし2012年度から「チューブシャント手術」という新たな手術法が保険適用になったことから緑内障患者の方から
は大きく注目されるようになりました。
まず、この「チューブシャント手術」は専用のインプラントという人工物を眼内に挿入することで房水の排出路を作って眼圧を下げる治療に該当します。
先に上げた二つの手術方法では、手術が行えない人もいてどうしようもない状態になっていたのですが、それらの方々も救済される可能性があると話題になったのです。
基本的に、この手術の方法は2通りあり、プレート付きのチューブを用いる方法とプレートのないチューブのみを用いる方法です。
もともと海外ではプレート付きのチューブを用いる手術は30年以上、チューブのみを用いる手術は10年前から行われているようで海外で実績のある手術となっています。
治療にかかる費用は?
基本的に症状が重くなればなるほど手術費用などが高くなるので、ある程度費用が高くなったラインから記載することにします。
点眼が必要になった場合はだいたい1本800円なので、診察代を含めるとだいたい3000~4000円ほどかかると考えればいいでしょう。
それでは、緑内障レーザー治療(SLT)などの普通の点眼薬では効果が期待できない段階に進んだ場合の費用についてお伝えします。
下記をご覧ください。
【選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)】
老人医療1割負担で片眼1万円程度、健康保険3割負担で片眼3万円程度
【レーザー虹彩切開術(LI)】
老人医療1割負担で片眼7000円程度、健康保険3割負担で片眼2万円程度
次に、手術にかかる費用を記載します。
実際は何日か入院するので別途入院費用が掛かると思ってください。
【線維柱帯切除術】
健康保険3割負担で6万円前後
【線維柱帯切開術】
健康保険3割負担で6万円前後
【インプラント手術】
健康保険3割負担で12万円前後
緑内障は治るのか?
率直に申し上げて、治るとは言い難いです。
視神経に障害が発生してしまった場合、その視神経を修復する手段は現代医療では確立されていませんので、回復することはほぼ無いと言われております。
ただし、症状の進行を遅らせることはできますので、治療が無意味というわけではないのです。
完治しないからといって治療を放棄するのは止めましょう。
治療でまつ毛が伸びる?
過去にホンマでっかTVにおいても取り扱われることがあったため、知名度も高くなったこのまつ毛が伸びるという現象ですが、具体的に解説すると緑内障の目薬のルミガン点眼液の副作用に目の周りが黒ずむとか多毛になるとかまつ毛が長く太くなるといったものがあるのです。
実際にこのルミガンは、「まつげを長く濃くする薬」として正式に承認されている医薬品に該当します。
そして2008年12月にFDA(アメリカ食品医薬品局)より認可されているのです。
そのため、一部女性の間では大人気になり緑内障の副作用を利用した新薬まで発売されるようになりました。
将来、治療にIPS細胞が用いられる?
IPS細胞を利用した再生医療はすでに考えられている分野のようですが、IPS細胞を用いた再生治療では目と脳を結ぶ神経の一つの細胞の長さが約10cmと非常に長い神経節細胞を再生させるのは無理だと当時は言われていたようです。
しかし2015/2/11の国立成育医療センターの報告では国立成育医療研究センターなどの研究グループがIPS細胞から「軸索」と呼ばれる神経線維を持つ視神経細胞の作製に成功して、2016/8/19にはマウスのIPS細胞(人工多能性幹細胞)とES細胞(胚性幹細胞)から視神経細胞を作製することに世界で初めて成功したという報告も挙がっているので、そう遠くない未来で治療は不可能と言われていた緑内障を治癒することができるようになるかもしれません。
緑内障に関しましては次のページも参考にしてください。
緑内障の予防法【食事・目薬・レーザー・運動・メガネなど】/a>
緑内障の8つの原因【ストレス・コンタクト・糖尿病】と予防/a>
緑内障の禁忌は?食事・葛根湯・目薬・睡眠薬・ステロイド?/a>
緑内障の失明の危険性は?症状や手術など治療法や予防法は?/a>
緑内障の手術につきましては、次のサイトも参考にしてみて下さい。
最後に
以上、いかがだったでしょうか?
本記事では緑内障の治療方法について、そして副作用はあるのかをお伝えしました。
現代医療も確実に進化し続けているので、今はまだ症状を遅らせたり止めたりすることしかできない緑内障も、いずれは治せるようになるのかもしれません。
そのためには、IPS細胞を利用した研究がどれほどまで進むのかにかかっていると言えるでしょう。
緑内障で苦しんでいる方のためにも、いち早く治療法を確立していただけたらと思います。
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