乾癬性関節炎の症状や薬など治療法は?完治する?
血液検査など乾癬性関節炎の診断や治療法
乾癬性関節炎ってどのような病気なのでしょうか?
この病気は発症する人が少ないこともあって知名度はあまり高くないですが、治り難い症状ということもあり、気になった方は完治するかどうか、治療する方法はどのようなものなのか、薬は使うのかと気になってしまうかと思います。
本記事では乾癬性関節炎の症状や薬など治療法について、完治するものなのかも含めお伝えします。
乾癬性関節炎の症状は?
乾癬性関節炎とは乾癬という皮膚の病気と、関節に腫れと痛みが出る関節炎が同時に発生する病気になります。
つまり同時に二つの症状が出ていることになります。
症状について詳しく解説すると、手の指が腫れていくとか関節が痛むといった関節症状が発生し、腱や靱帯が骨に移行する部分に対する炎症が起きる「腱付着部炎」や指1本が腫れあがってしまう「指炎」などの関節外症状が発生すると同時に、手・首・足・肘・膝・頭などに赤い発疹や鱗屑性発疹(りんせつせいほっしん)が発生するようになります。
発症する順番としては皮膚疾患である乾癬が先に発生し、関節炎・指炎・付着部炎・腱鞘炎・脊椎炎などの関節症状が発生するようになるようです。
皮膚に表れる症状の1つに蕁麻疹があります。
蕁麻疹につきましては次のページを参考にしてください。
薬で治す?
治療の方法はリウマチの治療に似た薬を使って効果が出るかどうかを確認し、効果が無かった場合は生物学的製剤といわれる注射療法を行うようになるようです。
また、皮膚や爪の病変が発生する病気でもあるのでビタミンDの軟膏やステロイド製剤の外用薬といったものが皮膚科から処方されることもあるでしょう。
関節炎には非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の内服といったリウマチの治療に使う薬を使用します。
これが服用されても3ヶ月から6ヶ月を過ぎても効果が薄い場合または関節炎によって生活に支障が出ている場合は患修飾性抗リウマチ薬の使用が薦められることになるでしょう。
薬以外の治療法は?
乾癬性関節炎の治療法において大切になるのは薬物療法以外に運動療法です。
なぜなら関節が硬くなって曲げたり伸ばしたりできなくなる可能性があるので、そうならないようにするためにもある程度の運動が必須となるのです。
また、乾癬はストレスで悪化すると言われているのでストレス発散の観点からも運動は大切だと言われています。
そして症状によっては抗リウマチ薬だけではなく非ステロイド性抗炎症薬を飲む必要もあるでしょう。
また、薬の項目で説明したような抗リウマチ薬で効果が無かった場合は、炎症を引き起こしている血液や関節液の中にあるサイトカインの働きを生物学的製剤で抑えるようになるようです。
しかし、この生物学的製剤は高額であることと注射することが難しいこと、さらには結核などの副作用があるため、使用するかどうかは医師と相談する必要があります。
生物学的製剤について
生物学的製剤とは化学的に合成した医薬品とは対象的に、タンパク質を応用して作られた治療薬です。
生物学的製剤という名前の通り、バイオテクノロジー技術を盛り込んで作られた医薬品で、関節リウマチに対して効果がある薬として日本では2003年から使われ始めました。
作られている数が化学的に合成した薬剤と比べると少なくなっているので、高価になりがちですが、効果が高いとして注目を集めました。
特殊な薬なので、日本皮膚科学会で定めた病院でしか取り扱っておらず、全ての患者に使用できる薬ではないようです。
乾癬に対しても使える薬であり点滴や皮下注射でも使えますので、状況に合わせて投与が可能というメリットもあります。
完治する?
この病気に関して完治するかどうかは意見が分かれている部分がありますが、総称すると非常に治り難い病気であり完治する可能性は低い病気であると言えるでしょう。
やはり、乾癬性関節炎になる原因が分らないという観点からも治療は困難なのでしょう。
完治しない理由としては、他の項目にて記載した運動療法と抗リウマチ薬などを用いた治療によって回復する人もいれば回復しない人もいるので、まだまだ治療方法が確立したとは言い難い状況が続いているからと言えるでしょう。
いわゆる、いまだ手探りの段階にある病気で、本格的な治療法が確立されていないのです。
ただし、どの医師でも早く発見すれば治療も早く開始できるので治る確率が高いことと、どんなに治療に長い期間がかかってもあきらめないことが大切と説いています。
原因について
この病気は発症する例が稀で、人口全体で言うと0.0001~0.01%の人が発症する極めて低確率な病気となっています。
それゆえというわけではありませんが、現代医学をもってしても発生原因は突き止められていません。
医師からは原因はよく分かってはいないものの、発症しやすいタイプ人はいるのではないかと言われています。
しかし、具体的に○○が××したから発症したというものはほとんどなく、発症しやすい体質の人が外的刺激などが加わって発症すると言われる程度におさまっているのが実状なのです。
ただ、一つだけ言えることは家族性発症が多いので、遺伝するものとは考えられているようです。
乾癬性関節炎は血液検査で診断する?
まず、発症しているかどうかの確認として皮膚の乾癬がある人が、関節炎の症状を訴えていた場合は乾癬性関節炎と考えられるようになります。
ただし、関節炎の症状が出ていても皮膚の乾癬が出ないケースもあるのでそのような方は確定診断に時間がかかる可能性があります。
そして、疑いのある人は2006年の乾癬性関節炎の分類基準を用いて診断を行います。
この乾癬性関節炎の分類基準は関節炎・脊椎炎・付着部炎といった関節疾患がある方が対象となります。
下記5項目中3つが当てはまった場合は乾癬性関節炎と分類されることになります。
①乾癬にかかったことがある、または今現在乾癬の症状がある。または兄弟姉妹や両親、祖父母に乾癬の方がいる
②典型的な乾癬の爪病変(爪剥離症、陥凹、過角化)がある
③リウマトイド因子という血液検査が陰性である
④指全体が腫れる指炎がある(あった)
⑤手、足のX線検査で特徴的な所見(関節近傍の新骨形成)がある
これ以外にも血液検査によってリウマトイド因子に陽性反応がでているか、レントゲンを撮って手・足・仙腸関節に症状が出ていないか確認することで判明することもあります。
患者数や年齢・男女比は?
乾癬性関節炎は本当にいろいろな症状がありますが、発症する人が多いのは20代から50代となっているようです。
また、乾癬になる人は日本人の場合は0.01%から0.1%と言われている中で、さらにそこから関節炎を併発する確率は10%もないとされています。
そのため1万人から100万人に1人程度の患者数になるでしょう。
実際に乾癬患者数の厚生労働省の平成20年患者調査では約10万人となっているので、その10%と考えた場合1万人以下が日本の患者数と考えていいのではないでしょうか。
また、男女比に関しては男性と女性ほぼ同数に起こると言われているようです。
乾癬性関節炎は特定疾患?
乾癬性関節炎は厚生労働省の協力も受けている「難病情報センター」を確認したところ特定疾患には指定されていません。
この特定疾患とは厚生労働省が実施する難治性疾患克服研究事業の臨床調査研究分野の対象に指定された疾患のことで、難病という言葉で用いられるものです。
この特定疾患に指定されている尋常乾癬は汎発性膿疱乾癬のみ認定されていて、乾癬性関節炎は対象外となります。
汎発性膿疱乾癬は命にもかかわる病気なので、難病認定されているのでしょう。
また、この乾癬性関節炎は膠原病に含まれる病気でもあります。
乾癬に関しましては次のページも参考にしてください。
乾癬性関節炎につきましては、次のサイトも参考にしてみて下さい。
最後に
以上、いかがだったでしょうか?
本記事では乾癬性関節炎の症状や薬など治療法について、および完治するのかもお伝えしました。
乾癬性関節炎は原因がいまだはっきりしておらず、完治するかどうかもわからない厄介な病気といえるでしょう。
確かに、難病認定はされていませんが症状が長引く人は長引く悩ましいものとなっています。
原因が分からないため防ぐのは困難ですが、早期発見は完治する可能性が高まるので症状に気が付いたらすぐに病院で診てもらうようにしてください。
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