不整脈の症状と原因!検査や治療法は?
不整脈でみられる症状と起こる理由および治し方について
一定のリズムで動いている心臓が一瞬、早く打ったり間をおいて打ったり、あるいは突然脈が1分間に120回以上打つような激しい鼓動になったり・・・こういったが出ると、不整脈ではないか?心臓が悪いのではないか?と不安になってしまうかと思います。
心臓は全身に血液を送るという重要な役割を持っているので、余計に心配になってしまいます。
本記事では不整脈の症状及び原因、そして検査・治療法を中心に記載したいと思いますが、脈に異常を感じる場合は早々に病院に行って医師に診てもらいましょう。
不正脈とは
画像出典:http://www.ninata.com/
ます心臓がドクドクと動く仕組みについてです。
心臓の右心房の中の上大静脈とのつなぎ目付近に洞房結節(どうぼうけっせつ)という一定のリズムで電気信号を発する細胞の塊があります。
この洞房結節が正常に電気信号を送ることで、心臓はドクドクと一定のリズムで正常に動いてくれます。
この洞房結節の信号を発するリズムが狂い、心臓の鼓動が不自然な打ち方になることを不整脈と言います。
心臓の病気に心筋梗塞があります。
心筋梗塞に関しては次のページをご参照ください。
不整脈の症状の種類
不整脈の症状には大きく分けると次のような3つの種類があります。
①一瞬心臓のリズムが狂う不整脈
「ドッドッドッドドッ」と突然1つの脈が早く打ってしまう場合があります。
これを期外収縮と言います。
②脈が速くなる不整脈
突然何かの拍子に脈を打つ速度が速くなるもので頻脈性不整脈と言います。
動悸を感じたりします。
1分間に100回以上とか多いケースでは500回以上にも達することがあります。
※勿論、運動をして1分間に100回を超える場合は正常です。
動悸に関しては次のページをご参照下さい。
③脈が遅くなる不整脈
徐脈性不整脈と言い、1分間に50回以下とか、脈の間隔が2秒以上開くといったケースがあります。
めまい、目の前が暗くなる、血の気が引くような感じがする、失神する、疲れやすい、息切れといった症状が現れたりします。
不整脈の原因について
先に挙げた各種類毎の原因を記載したいと思います。
①期外収縮の原因
これは洞房結節以外のところから電気信号が発せられることによって起こります。
具体的には原因は2つあり、心房から信号が出る場合(心房性期外収縮)と心室から信号が出る場合(心室性期外収縮)があります。
②頻脈性不整脈の原因
頻脈性不整脈の中にもいくつかの種類がありますので、その種類別に原因を記載致します。
Ⅰ.洞性頻脈
脈は規則的に正常に打ちながら速くなるものがあります。
これは洞房結節そのものに問題があると考えられています。
その背景にはストレスがあります。
ストレスが続くと交感神経が過剰に優位になる緊張状態が続き、そのことで洞房結節に影響が及ぶというものです。
ちなみに洞性頻脈はほとんどの場合、治療する必要はないようです。
しかしながら心不全や甲状腺機能亢進症が原因で起きることもあるので、健康診断などで洞性頻脈を指摘された場合は念のために病院で検査を受けておくといいでしょう。
バセドウ病に関しては次のページをご参照ください。
Ⅱ.発作性上室性頻拍
心拍数が突然1分間に150回以上になる発作が起きます。
原則、命の危険は無いですが、胸が苦しい感じがしたり、めまいや手足の冷えを感じたり、顔面蒼白になったりすることもあります。
場合によっては意識が遠のいたり吐き気をもよおしたりします。
発作の継続時間は短い時は1分以内で、まれに1時間以上も続くことがあります。
基本的に発作は自然に突然正常に戻りますが、止まらない場合は病院で点滴などによって発作を止める対策をしてもらうことになります。
この不整脈は治療せずにいたとしてもただちに命に別状はありません。
原因の多くはウォルフ・パーキンソン・ホワイト(WPW)症候群と言って、先天的に心房と心室の間に電気刺激を伝える余分な伝導路が存在していることによって起こると言われています。
その他、房室結節リエントリー性頻拍と言って、これも先天的に本来は1本であるはずの房室結節内の伝導路が2本以上 存在していて、房室結節中の余計な伝導路を通る電気信号が時々悪さをして発作を誘発するというものもあります。
冷え性に関することにつきましては次のページをご参照ください。
Ⅲ.心室頻拍
画像出典:臨床病理学(総合)
心室の筋肉が勝手にリズムを作り出す頻脈です。
心室の期外収縮(正常なタイミングで心拍が生じると予想される時期より早期に生じる電気的な興奮)が3連続以上発生する場合を心室頻拍と言います。
心拍数が1分間に120回以上になります。
心室頻拍が30秒以上持続するものを持続性心室頻拍と言い、めまいや失神を起こすことがあります。
めまいに関しましては次のページをご参照ください。
Ⅳ.心房細動
1分間に350~600回にもなる不整脈です。
洞房結節からの電気信号だけでなく、心房内で350~600回の電気信号が発生し、脈が速くなります。
生命に直接かかわることはあまりないのですが、心房細動による血栓による合併症を引き起こすリスクがあります。
Ⅴ.心室細動
心臓が痙攣したような状態になり、血液を全身に送り出せなくなります。
心室細動になると数秒で意識を失います。
そのまま数分間続くと死に至るという不整脈です。
心臓突然死のほとんどは心室細動が原因と言われています。
Ⅵ.QT延長症候群
心電図におけるQT時間(Q波のはじめからT波の終わりまでの活動電位持続時間)が異常に長くなり、脈が乱れ、立ちくらみや失神などの発作を起こし、死に至ることもあります。
治すことが難しい遺伝性の不整脈です。
約2,000人に1人の割合で発症しています。
一般的な貧血につきましては次のページをご参照ください。
③徐脈性不整脈の原因
徐脈の原因は明らかになっていませんが、洞房結節から一時的に電気信号が発せられなかったり、電気信号が心臓にうまく伝わらなかったりすることで起こることが1つの要因として考えられています。
このようなことが起こる背景として洞房結節や心房の老化(高齢化するにつれ発症割合が多くなっていることから)や心筋梗塞などの疾患、心疾患に対する薬物の投与の影響などが挙げられています。
心筋梗塞や脳梗塞に関しては次のページをご参照ください。
検査方法について
不整脈の検査には次のようなものがあります。
安静時12誘導心電図検査
心臓の筋肉が興奮する際に生じる電気的活動を調べる検査です。
不整脈の他、心筋梗塞、心筋虚血などが分かります。
通常は5分くらいの検査です。
ホルター心電図(24時間心電図検査)
小型軽量の心電計を身につけて、日常生活中の長時間の心電図を記録し解析する検査です。
不整脈は夜や早朝にみられることもあります。
このため、短時間の心電図検査では不整脈が起こっているか判断がつかないこともあり、長時間の実生活の中で心電図を記録し続け精度を高めます。
運動負荷心電図
運動をして、脈拍が上がった時の心電図を見る検査です。
労作(体を動かすこと)に伴って起こる不整脈の他、狭心症などの診断にも効果があります。
運動としては踏台昇降やベルトコンベアー上を歩くトレッドミル、自転車こぎ(エルゴメーター)などを行ないます。
心臓超音波検査(心エコー検査)
人間の耳には聞こえないくらいの高い周波数の超音波を利用して心臓の動きを見ることができる検査です。
心臓の動き方の他、大きさ、形、心臓の壁の厚さ、血液の流れる速度、方向なども分かり、心臓の病気がないか検査します。
心臓電気生理検査(EPS検査)
心臓にカテーテルという細い管を挿入して行う循環器検査法の1つです。
不整脈の種類や状態を把握する検査法で複雑な不整脈の診断や治療方針決定に役立ちます。
精神的ストレスが「うつ病」や「パニック障害」に繋がることもあります。
これらの症状に関しましては次のページをご参照ください。
危険な不整脈と危険でない不整脈
危険な不整脈としては心室頻拍、心房細動、心室細動、QT延長症候群が挙げられます。
一瞬心臓のリズムが狂う不整脈や洞性頻脈(どうせいふせいみゃく:念のため心不全や甲状腺機能亢進症ではないか確認しておくと良いです)、発作性上室性頻拍は原則危険というほどのものではありませんが、背景に何か疾患がないかなど、念のために病院で確認してもらった方がいいでしょう。
また頻度が多く、日常生活に支障が出る場合は病院で診てもらった方がいいでしょう。
徐脈の場合は他に症状が無ければ心配のないケースがほとんどです。
めまい、目の前が暗くなる、血の気が引くような感じがする、失神する疲れやすい、息切れといった症状が伴う場合は、やはり病院で確認しておいた方が無難でしょう。
強い息切れを感じる場合には心不全を起こしている可能性もあります。
不整脈の治療法について
不整脈において医学的な治療を行なう場合は医師の適切な判断にて行なわれます。
洞性頻脈の治療
精神的な緊張やストレスが原因となっている可能性が大きいので、基本的には薬などを必要としません。
日常生活の中でストレスを排除するよう心掛けることが肝要です。
ストレスがかかると交感神経の緊張が続き、自律神経の働きが乱れ、不整脈を始めとした様々な症状が出始めたりします。
できる限り物事を楽観的に考えたり、時間があれば楽しめるものに没頭するなどストレスの元から距離を置くことを心がけましょう。
整体院やカイロプラクティック院で自律神経の働きを整える施術を行なっているところもありますので、そのような施設を利用してみるのも良いでしょう。
自律神経のことやその働きを整える方法については次のページをご参照下さい。
発作性上室性頻拍の治療
画像出典:http://www.tokai-cvf.or.jp/p/p_statistics6.html
繰り返し発作がある場合には予防を目的として抗不整脈薬を定期的に服用します。
最近の治療法としてはカテーテルアブレーションというものがあります。
これは電極カテーテルという細い管を足の付け根や首の静脈から心臓まで通し、心臓の電気信号を記録します。
その記録から原因を探し出すことができます。
そして異常な電気回路に高周波の電流を流して熱して治療します。
約95%の治療効果が出ているそうです。
徐脈の治療
画像出典:http://cardio.icn.jp/k/07/index-1.html
治療が必要と判断した場合に行います。
薬物投与の影響がある場合は薬物投与の中止を検討します。
その他心拍数を増加させる薬の投与、ペースメーカーの植込みなどの治療があります。
心室頻拍の治療
画像出典:http://takamidai-clinic.com/?p=10415
抗不整脈薬の服用や先に記載したカテーテルアブレーション、心臓の外科手術、植込型除細動器(ICD)(常に心拍数を監視し、心拍数があらかじめ設定された基準を上回ると、状況に応じた治療が自動的に行われるという機器です)の植込みなどがあります。
心房細動の治療
心拍数を少なくする薬剤の使用、カテーテルアブレーション、心臓の外科手術、ペースメーカーの植込みなどの治療があります。
発作の場合は薬剤の使用や電気ショックにて治療が行なわれます。
心室細動の治療
心室細動の治療は、極めて緊急に行わねばなりません。
早急に心臓マッサージなどの心肺蘇生術を行い、除細動機器(AED)を入手し胸部に電気ショックを送らねばなりません。
正常な洞調律を維持するために、抗不整脈薬を投与します。
QT延長症候群の治療
日常生活の注意点として、激しい運動や興奮するなど発作の引き金となるようなことを避ける、発作を誘発しやすい薬剤は服用しない、などに注意します。
発作の予防のために、ベータ遮断薬や抗不整脈薬などの薬を服用しますが、効果がない場合は、植込型除細動器(ICD)、交感神経切除術等による治療が検討されます。
しびれ、耳鳴り、頭痛、不眠といった症状に関しましては次のページをご参照ください。
不整脈があっても運動して大丈夫?
不整脈がある人は基本的には運動に制限がかけられるようになるので、負荷の高いスポーツはできなくなるでしょう。
ただし、不整脈にも種類があるので運動によって発作が減る人もいれば、増える人もいるので、まずは医師に相談をして、運動をしていいのかどうかを確認して下さい。
医師からOKを貰っている人でも、何らかの異変を感じたのならすぐにストップしましょう。
また、起床直後は自律神経が切り替わって体も本格的に始動させるための期間となりますので、血圧や心拍数の変動に合わせて不整脈のリスクも上がってしまいます。
このタイミングで運動をすると危険度が上昇してしまうため避けた方がいいでしょう。
昨今の考え方として、不整脈であったとしてもウォーキングのような軽い運動ならば行った方が良いというものもあり、全く体を動かさない方が害になるというものもあります。
これはお医者さんと相談して運動の行い方を決めた方がいいでしょう。
不整脈につきましては、次のサイトも参考にしてみて下さい。
国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス 怖い不整脈と怖くない不整脈
最後に
不整脈とは心臓の鼓動が一定のリズムではなく、不自然になる状態を言います。
症状的には大きく分けると3つあり、一瞬脈のリズムが狂うもの、速くなるもの、遅くなるものがあります。
原因は鼓動のリズムを作る洞房結節そのものの異常や洞房結節以外の所から電気信号が送られるものなど色々あります。
不整脈には危険なものと危険でないものがあり、不整脈を感じたり健康診断などで指摘されたりした場合は念のために病院で検査しておくことが大切です。
検査方法としては心電図や超音波、心臓電気生理検査などが用いられます。
治療法については不整脈の種類によって、薬物投与、カテーテルアブレーション、手術、植込型除細動器(ICD)の使用、ペースメーカーの使用などが選択されます。
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